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BETC Paris

BETC Paris

フランスの広告会社BETCの衝撃的なビジュアルブック

09 1/27 UPDATE

フランス最強の広告会社「BETC」が、同社のクリエイションとエスプリのすべてを叩き込んだのが本書──なのだが、これがもう、なんというか、すっさまじい!内容。日本人に馴染み深い作品でいうと、エール・フランスの一連の広告ヴィジュアル。あのハイパー・リアリズムでクールなイメージをご記憶のかたも多いのでは。

しかし、それだけに留まらない(留まるわけがない)のが、このBETC。老若男女の全裸(エヴィアン)など当たり前、吐瀉物の付いた便器(カナル・プリュス)、あげくは靴裏に付いた犬のフン(ル・パリジャン紙)まで......およそ「アングロ・サクソン的」広告表現に慣れきったこちらの身には、衝撃的なムチャクチャ度。このあり得ないユーモア・センスこそが「パリのエスプリ」というものなのか? 実際、上記ウンゲロ表現が、最終的にはオシャレに見えてしまうところがおそろしい。プジョー、ルイ・ヴィトンほか、ほとんど仏国旗を背負っているようなクライアントを相手に、「ここまでやるか?」というのが、かの国の「最大手」クリエイションだということには戦慄(と憧憬)を憶える。

ちなみにこの会社、あのジャスティスを早々に発掘していたクラブ・イベント「パニック!」も主催。創業者の一人がインディー・レーベル「ナイーヴ」を個人経営。そこからマドンナにも起用されたMIRWAYSを送り出したことも。単なる有名広告会社の社史的な一冊を超えて、クリエイティヴな刺激(と笑い)満載の本書、全380ページで、12インチのLPサイズ(重い!)。さらにはDVDも付いていて、もちろんこれも衝撃的!

Text:Daisuke Kawasaki(beikoku-ongaku)

「BETC Paris」
Rémi Babinet
(BIS Publisher)