09 1/29 UPDATE
その名のとおりのブ厚い本(束厚6センチ!)で、まさにその名のとおり、世界の名建築を網羅してみたというのが本書。惹句に「ピラミッドから安藤忠雄まで」というものすごいものがあるのだが、これホント。対象となった国や地域は世界100以上。期間は、紀元前3200年から、昨年(2008年)まで。古典、ルネサンス、近代、そして現代建築まで「全部載せる」という方針のもとセレクションされている。もちろん、だれにとっても「あれがない、これがない」という意見はあろうが、それ以上に、「これは知らなかった......」という発見が必ずあるはず。全1001本というのは、それだけの物量だ。
その物量をさばく際、ひとつの建築物に対して、1ページ、もしくは見開きでコンパクトに紹介されている、という構成がとてもいい。昔なつかしの「怪獣図鑑」など、思い出す人もいるのではないか。本棚にこれが一冊あるだけで、かなりの長期間にわたって、最高の暇つぶしの友となることは間違いない。
もちろん、建築家、デザイナーにとって「ここに載っている建築」を知っているか、知らないかでは、大きな差がついてしまうような気もする。プロだったら、ここに掲載の作品は、全部暗記すべきでは。
最大の問題は、「死ぬまでに見たい」と言われても、掲載の作品を全部見るために行脚するとしたら、寿命三百年ぐらい必要な気がする......という点なのだが、人間やはり、生きているうちに「人生を超える」レベルの書物とは、できるかぎり多く付き合っておいたほうがいい。そんなことを思わせる、破格の一冊。
Text:Daisuke Kawasaki
Photo:Masaki Sato
『死ぬまでに見たい世界の名建築1001』
マーク・アーヴィング、ピーター・セントジョン
(エクスナレッジ)
7,980円[税込]