09 3/11 UPDATE
ユルゲン・テラーからテリー・リチャードソンまで多大な影響をあたえた、まさに「クラシック」と呼べる偉大な写真集『Skins』で名高いギャビン・ワトソンによる、同作の続編といえる一冊。いやもう、素晴らしい。本当に、素晴らしい。風俗情報としての「スタイル」ではなく、街と人が織りなす貴重なドキュメンタリーとして、スキンズとパンクスが躍動している。まもなく日本でも公開される、83年当時のスキンズを描いた映画『ディス・イズ・イングランド』の監督であるシェーン・メドウズも本書に序文を寄せているが、もちろん彼も、ギャビンの『Skins』に打ちのめされた口だ。もうほんと、見ているだけで頭を丸めたくなる(or 髪を逆立てたくなる)一冊が本書だといえる。
ここにおさめられた写真は、78年から85年までの期間、ギャビンの故郷であるイングランドのハイ・ワイコムにて撮影されたもの。例えば、街のショピング・センターにいるスキンズの姿など、ごくごく日常的なシチュエーションばかり。登場する人物も、ギャビンの友人、知人、恋人などなど......つまり、遠く離れた日本に住む我々が、「音楽にまつわるファッション」としてしか知り得なかったスタイルが、実際はどう息づいていたのか、といったことが手にとるようにわかる、第一級資料が本書だとも言える。なおかつ、どの写真も、とてつもなく、美しい。
本書におさめられた写真について、ギャビン本人が、こんなコメントを寄せている。「これらの写真を見ていると、感情のローラーコースターみたいになる/『さびしい』って気持ちも強い/写真にうつっている奴らの多くには『いい未来』なんて訪れなかったから」ーー地方都市で、育ちが悪く、そして「仲間たち」との一瞬を閃光のように生きた「ギャングたち」の姿......この写真集を最初から最後まで見て、それで落涙しなければ男じゃない! 男なら泣け!ーーそう断言していい一冊だ。
Text:Daisuke Kawasaki (Beikoku-Ongaku)
「Skins & Punks: Lost Archives, 1978-1985」
Gavin Watson(Vice Books)