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イギリスの出版社から発売された『CULT STREETWEAR』の翻訳版。世界中から厳選された32ブランドのプロフィールが、過去の膨大な作品群とその背後にいる作り手たちの物語とともに綴られている。
掲載されているブランドは、大きく3つのカテゴリーに分けられている。まずひとつめは、インディペンデントな精神から生まれた「ストリートウェアブランド」。そこには<GOODENOUGH><NEIGHBORHOOD><A BATHING APE>といった東京発のブランドも含まれる。ふたつめは<NIKE><adidas><BURTON>をはじめとする「スポーツウェアブランド」。そして最後に<Carhartt><Dickies><Red Wing>といった「ワークウェアブランド」を収録。それぞれ成り立ちも規模も大きく異なるが、いずれも広義の「ストリートウェア」であることに異論を唱える人はいないだろう。
ストリートウェアのパイオニアと言われるブランドの多くは1980年代から1990年代前半にかけて勃興し、多くのフォロアーを生み出しながら1990年代後半に全盛期を迎えた。当時のストリートに渦巻いていたある種の「熱狂」は、もはや回顧の対象となりつつある。しかし、ストリートウェアそのものは、それを着る人にとって今も生活の一部であることに変わりはない。既成概念にとらわれず、刺激的な物作りを続ける作り手たちのストーリーを改めて振り返ることで、ストリートファッションの「今」がより鮮明に見えてくる。
Text:Issey Enomoto
『カルト・ストリートウェア』
ジョシュ・シムズ 著/神田由布子 訳
ブルース・インターアクションズ
2.625円[税込]