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『パリジェンヌのつくりかた』

『パリジェンヌのつくりかた』

すき、すき、だいきらい! なパリジェンヌへ

14 12/04 UPDATE

パリジェンヌのつくりかた ―― なんとも大胆なタイトルだ。
「これ以上、パリジェンヌの考え方を広めないでほしい!」そんな反対意見だって聞こえてきそうだ。なんといっても、パリジェンヌって世界一めんどうくさい生き物なのだから。
そう思っているのは、なにも僕や多くのパリジャンだけではない。
当の本人、著者の彼女たち(そう、この本は4人のパリジェンヌたちによって書かれているのである)にだってその自覚はあるだろうし、それは冒頭に登場するそのパートナーのパリジャンのこぼす本音で、力なく実証されている。

パリジェンヌ。そのノンシャランな生き方は、世界中の多くの女性たちの憧れの的でありながらも、相当にめんどうくさいルールと細かいこだわりで縛られているように思う。
いやはや、いかにしてこの特別な街に棲息する女性たちは「めんどうな」立場を守り続けているか、4人のパリジェンヌは、この本の中にその秘密の一部をかいま見せてくれるのである。

著者の4人を紹介しよう。
カロリーヌ・ド・メグレはシャネルのアンバサダーをつとめた過去を持ち、最近ランコムのミューズになったばかり。
アンヌ・ベレは2作の小説とサガンの伝記小説で知られる気鋭の女性作家。
オドレイ・ディワンは脚本家であり「スタイリスト」誌のコントリビュート・エディターも務めている。
映画プロデューサーのソフィ・マスは個人的にトムセンのアリックスとも長年の親友で、彼女の助言がこの本の誕生のきっかけにもなったのだとか。
そしてこの4人のパリジェンヌは幼なじみ、長年の(親友)であるというのだから、この一冊が、世に数多あるどんなパリの「ハウツー」ものも比肩できない説得力があるではないか。
確かに原題には「How to be Parisian」(そもそも本書は全篇、英語で書かれたもの)とあるが、実際のところこの本がハウツーという実用性を持つかは信憑性がない。
だって結局はパリという舞台でないと、こんな考え方は通用しない!
街が人を作る、というなら、まさにパリこそがパリジェンヌをつくっているからだ。
それでもいい。この誇り高き、自信に裏打ちされた女性たちの言葉を聞くがよい!
ああ、パリジェンヌよ永遠に!
あなたはますます、パリジェンヌが大好きに(大嫌いに)なってしまうだろう。

text: Shoichi Kajino

『パリジェンヌのつくりかた』

カロリーヌ・ド・メグレ
オドレイ・ディワン
アンヌ・ベレスト
ソフィ・マス
古谷ゆう子 訳

2014年11月21日発売
本体2200円+税

早川書房