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1980年12月8日、ジョン・レノンが暗殺される数時間前に撮影され、ローリングストーン誌のジョン・レノン追悼号の表紙を飾った全裸のジョンがすがるようにしてオノ・ヨーコに寄り添う伝説のカットや、ヴァニティ・フェアの表紙を飾り、母性に関する大論争を巻き起こしたデミ・ムーアの妊娠ヌードフォトなど、アニー・リーボヴィッツの名前を知らずとも、彼女が撮影したこれらの伝説的な写真を目にしたことのない人はいないだろう。
本作はこれらの伝説的な写真を世に贈り出してきた世界一有名なポートレイト・フォトグラファー、アニー・リーボヴィッツの人生の軌跡をたどったドキュメンタリーである。
本作では、ポップカルチャーの最先端を走っていたローリングストーン誌で、無名の彼女が「ロック界随一のカメラマン」に登りつめていく過程で撮影された傑作ポートレートが生み出される背景や、後に移籍したヴァニティ・フェア誌において、数多くのセレブリティに臆することなく、彼らの思いがけない側面を切り取った作品を生み出していくその舞台裏が、アニー本人へのインタビューや、オノ・ヨーコ、デミ・ムーア、キース・リチャーズ、ミック・ジャガーなどをはじめとしたセレブリティ達の証言を交えて描き出されているのだが、セレブリティ達が「アニーは特別だ」と語り、彼女に心を開くのは、写真のみではなく、波乱に満ちた人生を歩んできた彼女の、強く新しく自由な生き方に魅力を感じたからだということがみえてくる。
さらに、彼女の人生における輝かしいキャリアだけではなく、ドラッグに溺れた若き日々や、「アメリカの知性」と評された知識人で、最愛の人でもあったスーザン・ソンタグとの永遠の別れ、そして50歳を過ぎてからの出産など、プライベートのエピソードが彼女自身の口からオープンに語られ、一流のフォトグラファーとして、女として、母として、悩み、深く傷つきながらも強く、自由に生きる姿が描き出されているのだが、これを可能としたのは優秀なドキュメンタリー映像作家であり、アニーの実妹であるバーバラ・リーボヴィッツ監督によるところが大きいだろう。
「写真という視覚芸術の在り方」を見せるのみにとどまらず、「プロフェッショナルの仕事とは何か」、「強く、自由な生き方とは何か」を見せつけるドキュメンタリーの秀作である。
※『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』特別試写会に抽選でハニカム読者10組20名様をご招待します。お名前、郵便番号、ご住所を明記の上、件名を「アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生」としていただき、 [email protected]宛にメールをお送り下さい。当選の結果は「試写状」の発送をもって替えさせていただきます。締め切りは1月21日(月)の17時、抽選は当日中に行ないます。
日時:1/28(月)18:00開場/18:30開映
会場:九段会館(http://www.kudankaikan.or.jp/access/index.html )
Text:honeyee.com
『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』
監督・脚本・製作:バーバラ・リーボヴィッツ
出演:ヨーコ・オノ、デミ・ムーア、キース・リチャーズ、アナ・ウィンター、ヒラリー・クリントン、ミック・ジャガー他
2007年/アメリカ
原題:ANNIE LEIBOVITZ: LIFE THROUGH A LENS
上映時間:83分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
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2月16日(土)より、シネマGAGA!、シネカノン有楽町2丁目他
全国順次ロードショー
© 2007 by Annie Leibovitz