honeyee.com|Web Magazine「ハニカム」

Mail News

『シューテム・アップ』

『シューテム・アップ』

荒唐無稽にもホドがあるアクロバティック・アクションが延々続く86分。

08 6/09 UPDATE

いきなりニンジンを生齧り。カリッ、ゴリゴリと噛み砕くのはゴツい顔した不敵な野郎、クライヴ・オーウェン。バス停のベンチに座った彼の前を、大きな腹を抱えつつ血相変えて横切る謎の妊婦。すぐあとから追いかけるのは明らかに物騒な風体のギャングたち。ほっとけないなと首を突っ込んだが最後、公称2万5千発という尋常じゃないほどの銃弾が飛び交い、荒唐無稽にもホドがあるアクロバティック・アクションが延々続く86分。妊婦の腹から赤ん坊を取り出しながらも、その子を一緒に守り抜くなじみの娼婦モニカ・ベルッチとナニしながらも、飛行機からスカイダイヴィングしながらも、とにかく撃って撃って撃ちまくる。

なんでも監督はジョン・ウー・アクションを目指したというが、最後のクレジットで撮影監督に鮑起鳴(ピーター・パウ)の名が出るまで考えもしなかった。ここまでやっちゃうともはや香港アクションとは似て非なるモノ。度が過ぎて元ネタを突き破りオリジナルとなった好例といっていい。

何故に妊婦は殺されようとしていたのか?それは生まれた子供に秘密があるってワケで、その子を守りつつ逃げまくるのがオーウェンとくれば、なんだか『トゥモロー・ワールド』のパロディじみてるが(笑)もちろん微塵もシリアスじゃないし、おまけになんとも人を喰っている。ここまでド派手に撃ちまくっておきながら、いけしゃあしゃあと銃社会批判までしちゃう図々しさに大笑い。いやあ、骨の髄まで洒落のめしてます。ねずみ男みたいな風貌で極悪人を演じるポール・ジアマッティも可笑しいんだよね。

Text:Milkman Saito

『シューテム・アップ』

監督・脚本:マイケル・デイヴィス
製作:スーザン・モントフォード、
ドン・マーフィ、リック・ベナター
撮影:ピーター・パウ
出演:クライヴ・オーウェン、
モニカ・ベルッチ、ポール・ジアマッティ、
スティーブン・マクハッティ、
グレッグ・ブライク
原題:Shoot 'Em Up
2007/アメリカ
上映時間:86分
配給:ムービーアイ

渋谷東急109シネマ×ユナイテッド・シネマほか全国ロードショー中

http://www.shootemup.jp/

©MMVII NEW LINE PRODUCTIONS,INC.ALL RIGHTS RESERVED