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『俺たちダンクシューター』

『俺たちダンクシューター』

世界が巨大なシステムに統合されてしまうことの理不尽と
ギリギリまで闘う熱い男たちの物語!

08 8/12 UPDATE

ようやく日本でも認知されてきた気がするウィル・フェレルの馬鹿コメディ。まあ、"気がする"って程度なのが哀しいところだけど(笑)アメリカン・コメディは日本じゃまず当たらない空気になっているからね。勝手に「俺たちシリーズ」って命名したって何したっていいから(伝統的に日本では「珍道中シリーズ」だの「凸凹シリーズ」だの捏造するしきたりになっているのだ)、もっと認知させまくって面白さを広めてほしいって感じだな、ファンとしては。だけど......この映画ってちょっとカッコよすぎじゃない!?

1970年代、米プロバスケ界にはNBAとABAの2リーグが存在したらしい(コレ実話)。だがふたつのリーグは統合されてNBAだけとなり、どちらかというとマイナー感のあるABAは上位4チームを残し解散することに。

我らがウィルが扮するのは、選手としての最盛期に歌を出して大ヒット、その印税でチームを買収した(ってもミシガンのクソ寒い土地フリントにあるのに、その名も「トロピックス」)監督兼選手兼歌うオーナーなのである。エンターテインメント的にはあの手この手を繰り出すが、バスケの実力的には惨憺たるもの、追い打ちかけるように運命のコミッショナー決定だ。目指すは「4位」!

慌てて一流選手(ウディ・ハレルスン。平気で馬鹿コメディだってこなしてみせる彼だが、今回は比較的シリアスにキメて当然いいのだ)を招聘したはいいがコーチの座を奪われそうになったり、それでもエンタメの血は急には拭いきれなくて客を集めるため子供グリズリーと"決闘"したり、大量得点の際のファン・サーヴィスをケチって味方ボールをブロックしたりするウィル・フェレルのおマヌケぶりはもちろん楽しめる(繰り返しギャグのネタになるヒッピーオヤジはジャッキー・アール・ヘイリーだ)。

しかししかし。トロピックスのたゆまぬ努力(?)はやがて実を結び、地域の負け犬たちの心をグッと掴んで絶大な支持を受けはじめる! ここまでくるともはやカッコよすぎて、必死にコメディの枠にとどまろうとしてるようにさえ見えるけれど、いや、これはこれでいいのだ。はっきり言っちまおう。この作品は、世界が巨大なシステムに統合されてしまうことの理不尽とギリギリまで闘う熱い男たちの物語なのであるっ!

んで、このアゲアゲなムードをいや増すのが選曲センスだ。時代が時代だけあって、ウィルの一発ヒットはモロにバリー・ホワイトのエロ・ソウル(しかしプロデュースはナイル・ロジャースだ!)。全編に流れまくるのはファンクあるいはディスコ・チューンのつるべ打ち。とりわけスライ&ファミリー・ストーンなんてぴったりで、"RIOT"な気分を盛り立ててくれるのでありますな。それになんと、天国にいるウィル(もちろん白人)の母親が......"レディ・マーマレード"本人ってぇっ!!(爆)

Text:Milkman Saito

『俺たちダンクシューター』

監督・製作総指揮:ケント・オルターマン
脚本:スコット・アームストロング

出演:ウィル・フェレル、ウディ・ハレルソン、アンドレ・ベンジャミン、ウィル・アーネット
原題:SEMI-PRO
製作国:2008/アメリカ
上映時間:90分
提供・配給 : ギャガ・コミュニケーションズ powered by ヒューマックスシネマ
PG-12

渋谷シネマGAGA!他上映中
http://oredan.gyao.jp/

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