09 10/23 UPDATE
「史上最大の人道危機」といわれるアフリカ、スーダンのダルフール紛争。2003年に非アラブ系民族とアラブ系民族の衝突により民間人への大量虐殺が行われ、その内紛は現在も続いている。オープニングは「母さんのために。父さんのために学ぶ。家が燃え落ちてしまったなら、学ぶべきだ。スーダンのために学ぶべきだ」という少年の歌声からはじまる。スーダン地方の難民キャンプで収録された12歳の男の子、アダムの歌だ。
愛する国を失ったアダムの歌で始まったこの物語は、ダルフール紛争のために催される世界規模のチャリティ・コンサート「SING FOR DARFUR」の開催地、スペイン・バルセロナの一日を描く。チケットが入ったバックを盗まれた女性、冗談交じりに世間話をする中国人、学校をサボる女子学生など、バルセロナで生活する"ふつう"の人々が登場。人が人に「触れる」ことで物語の"主人公"が入れ代わり、新たに"主人公"となる彼らは皆、ダルフール紛争そのものには無関心だ。コンサートや紛争自体を直接描かないことで、逆に観る者にとってはダルフール紛争の真実が知りたくなる。
オランダ人クリエイター、ヨハン・クレイマー監督の呼びかけにより集まったスタッフは、この作品をNon-Profit(非営利)で制作。THE CURE、Underwoeldなど数多くのアーティストから楽曲の提供を受けている。また、本プロジェクトで生まれた利益の一部はThe Sing for Darfur Foundationへ寄付されるという。
また、注目すべきは『ゴールデンエッグス』を制作していることで有名な『PLUS heads』が初の映画配給を手がけているという点。チケットをTシャツ「チケT」で販売、全国100ヶ所のスクリーンでの上映を目指すなど、単なるアートフィルムとしての扱いを超えた新しい挑戦をしている。この実験的作品ともいえる美しい映像の79分間に「触れる」ことで、"主人公"になって欲しい。
Text:honeyee.com
『SING FOR DARFUR』
監督:ヨハン・クレイマー
出演:ペール・モリナ/メリーナ・マシューズ/ヴィッキー・ペーニャほか
スペインプロデューサー:エスター・ ウダエタ
オランダプロデューサー:クリステル・ホフスティ/ジョニー・ヴァン・ヒューズ
美術:リッケ・ジュリア
撮影:ワウター・ヴェステンドルフ
制作国:スペイン・オランダ合作 2007年
上映時間:79分
配給・宣伝:PLUS Heads Inc.
©Sing for Darfur powered by PLUS heads inc.
http://www.plusheads.com/singfordarfur/
公開中
上映劇場情報
2009年10月10日(土)~10月30日(金)@大阪第七藝術劇場
10月24日(土)〜10月30日(金)14:40(1日1回上映)
2009年11月1日(日)〜11月6日(金)@京都みなみ会館
11月1日〜2日 16:10~/ 3日〜6日 16:25~
このほか神戸の映画館にてリレー上映を継続予定!!