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Upside Down The Creation Records Story

Upside Down The Creation Records Story

インディペンデントの帝国、CREATIONの興亡を浮き彫りにしたドキュメンタリー
「アップサイド・ダウン:クリエイションレコーズ・ストーリー』

11 8/17 UPDATE

階級社会の残る英国においては、いまだ「ワーキング・クラス・ヒーロー」という言葉は有効なのだろう。スコットランドのグラスゴーに生まれ育ち、鉄道員を経てロンドンに上京、のちに最大のインディペンデント・レーベルとなる「CREATION」を立ち上げ、プライマル・スクリーム、ジーザス&メリー・チェイン、マイ・ブラディ・ヴァレンタイン、そしてオアシスを世に送り出したレーベル・プロデューサー、アラン・マッギーはそんな典型的な英雄だろう。

'80年代、グラスゴーの小さなインディ・コミュニティでアラン・マッギーがボビー・ギレスピーと出会うことから、英国をそして世界を圧巻するストーリーは語り始められる。アラン本人はもちろん、プライマル・スクリームのボビー・ギレスピー、オアシスのノエル・ギャラガー、マイ・ブラディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズ、ジーザス&メリー・チェインのジム・リードといった"当事者"たち、そして共同経営者であった二人を含めたコメンタリーと当時の貴重な映像を繋ぎながら、その帝国の興亡が浮き彫りにされていく。

'80年代のグラスゴー時代から1999年のレーベル閉鎖まで、ここで描かれるのはひとつのレーベル史でありながらも、当時のグラスゴー〜ロンドンを繋ぐインディ・シーン、シューゲイズ、その後レーベルの方向性の転換をも左右したマンチェスター・ムーヴメントやドラッグの影響なども含め、大きくは英国のロック史さえも俯瞰出来るようだし、あるいは、たったひとりの男の歴史のように見ることも出来る。

1999年、オアシスは英国はもとより世界を代表するロック・バンドへと成長し、プライマル・スクリームの「XTRMNTR」が完成した直後という勢いを保ちながらも、そのインディペンデント・レーベルの帝国がなぜ崩壊せざるを得なかったのかが語られる。

「CREATION」はパンク以降のUKにおいて、最も新鮮なアティチュードを呈示し続けた存在であった。その終焉まで一貫してブレることのなかったアラン・マッギーの"インディペンデント"なスピリットとは何だったのかを改めて読み取って欲しい。

ちなみに先日、アラン・マッギー本人やプライマル・スクリームも来日する中、SUMMER SONIC 2011(東京)にてこのドキュメンタリーが先行プレミアム上映され、多くのロック・ファンたちの熱い注目を集めた。

text:Shoichi Kajino

「アップサイド・ダウン:クリエイションレコーズ・ストーリー』
2010年/イギリス映画/101分
原題:Upside Down The Creation Records Story
監督・製作:ダニー・オコナー
提供・配給:キングレコード+iae

© Document Films 2010

シアターN渋谷にて8月27日(土)よりロードショー
ヒューマントラストシネマ有楽町 他、全国順次公開
http://www.udcrs.net/