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84年の大ヒット作『ゴーストバスターズ』のリブート作品である。今回、主演のゴーストバスターズは男性から女性に変えられているが、この女性陣もただものではない。アメリカを代表するコメディアンたちを輩出した、バラエティ番組「サタデー・ナイト・ライブ」の出身者で、今やリドリー・スコットの映画などでも女優業をこなすクリスティン・ウィグをはじめ、この番組でいま現役で活躍するコメディエンヌたち、そしてアメリカで興行収入1位に輝くコメディ映画の主演スター、メリッサ・マッカーシー。上映前から、主演女優たちの年齢や容姿、人種問題でいわれもない批判を受けた映画であったが、面白ければ一体なんの問題があるというのだろう。
物理学教授のエリン(クリスティン・ウィグ)は、終身雇用の審査を待つ重要な時期。しかし、彼女が若かりし日に書いた心霊現象に関する本が無許可で再販されていた。犯人はエリンの昔なじみで共著者の物理学者アビー(メリッサ・マッカーシー)。彼女は威勢のいい女性エンジニア、ホルツマン(ケイト・マッキノン)に開発を手伝ってもらいながら心霊研究を続けていた。3人はたまたま調査に向かった屋敷で本物の幽霊と遭遇。その動画がきっかけでエリンは大学をクビになった。そこへニューヨークの地下鉄職員のパティが幽霊の報告をもたらし、彼女も仲間に加わる。頭は悪いがナイスバディの美男秘書ケヴィン(クリス・ヘムズワース)も雇い、ゴーストバスターズが結成される。
男性の映画を女性キャストがリメイクするとき、男勝りにふるまう必要はないし、もしくは男顔負けにふるまっても良い。この映画でもバスターズが「パトリック・スウェイジ良かったよね~」と、不意に青春スターの思い出話に花が咲いたかと思えば、体と命を張ってゴーストの捕獲作戦に出る。
友情もあるし、ケヴィンの頭の悪さに心底呆れつつも、エリンはイケメンというだけで彼にメロメロなのも、女らしくて可愛い。他の3人は逆に、彼の頭の悪さに常にどん引き気味なのも冷静でいい。女性観客には、度胸のある変人ホルツマンに憧れを抱く人が多そうだ。そしてカメオ出演で登場する、ホルツマンの師匠......!まさに性別を超えて体を張った先輩女優といえば、男性も文句のないキャスティングだろう。
本作はできれば3Dで見ることをオススメする。3D版では、最初から縁にわずかな黒みを残して、ゴーストたちの発する光が中空を走って見えるような演出が施されている。そして、幽霊たちの放つ光の美しさ。おなじみのゴースト総動員も嬉しいが、綺麗に彩られた幽霊も、女が活躍する映画として申し分ない。女性映画とは、男性の真似ではなく、キレイなものやイケメンが好きで、女なりの方法論を取りながらスジを通す映画なのだ。
text: Yaeko Mana
『ゴーストバスターズ』
監督:ポール・フェイグ
製作:アイバン・ライトマン/エイミー・パスカル
製作総指揮:ポール・フェイグ/ジェシー・ヘンダーソン
出演:クリステン・ウィグ/メリッサ・マッカーシー/ケイト・マッキノン/レスリー・ジョーンズ/クリス・ヘムズワース
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント