honeyee.com｜Web Magazine「ハニカム」

前作『Living Message』のリリースから1年あまり、猪野秀史の3rd.アルバム、その名も『INOCOLOGY（イノコロジー）』がリリースされた。ライナーノーツには、白衣とサングラスを着用した、普段とは一風異なる猪野秀史の写真、そして「世界がまわる。宇宙もまわる。21世紀のコスミック観光音楽、登場！？」という何とも不思議なキャッチが......。

本作『INOCOLOGY』には、マイケル・ジャクソン『Billy Jean』やビル・ウィザーズ『Just The Two of US』などの名曲をカバーした1st.アルバム『Satisfaction』や、前作『Living Message』にはない、ユニークなサウンド、猪野秀史の新たな音の世界観が詰め込まれている。

球体が「コロコロ」と転がるような世界観を、ミニマルなサウンドで、立体的に表現してみせた1曲目『球体のかけら』やラスト・11曲目の『球体』、猪野秀史が自身の代名詞・フェンダーローズで生み出す叙情の旋律と、ドラム・ビートや上モノが巧みに重なり合うことで、不思議なサウンド・スケープが広がる4曲目『イノセントデビル』（9曲目には、『イノセントデビル』と対をなす、ピアノバージョンの『イノセントエンジェル』を収録）、また、軽快なリズムとそのリズムと裏打ちするかのように響くフェンダーローズの音色で、宇宙を舞う蝶を表現してみせた8曲目『宇宙てふてふ』などなど、これまでの作品にはない、ユニークなサウンドを詰め込んだ本作は、ピュアな気持ちで音楽を追求する猪野秀史のネクストレベルを感じさせる。

全体を通して聴いてみると、猪野秀史が生み出す音の世界、音の宇宙をゆったり旅しているかのような、心地良い感覚を覚えることが出来る一枚に仕上げられている。

Text:honeyee.com