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永直樹によるジャンル横断型マルチ・サウンド・プロジェクト、Audio Artsの3作目。
電子音、生音、効果音響、ビート、ヴォイス...etcが、それぞれにふさわしい音像により、重層的に配置されたサウンドプロダクションは、さながら周囲の環境と調和した建造物。そして、その中に収まる快適さを具現化するクリーンなインテリア。
つまり、Audio Artsの音楽は、まさに「家具のようにデザインされた音楽」として誕生したアンビエントミュージックへの今日的な回答として、控えめだが、確かなアティテュードを示しているのである。
とりわけ、本作『Black × White』では、一聴して飛び込んでくるその質感が発する「知性派」の印象と軽やかなグルーヴや親しみやすいメロディが表現する「優しさ」との絶妙なバランスに磨きがかかり、ポップミュージックとしての完成度も申し分ない。
ちなみに、Audio Artsの前作が、hnyee.Storeの2009年隠れヒット番付のかなり上位の食い込んでいたという事実が「嬉しい驚き」であった、というのは蛇足であろうか。
Text:honeyee.com