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「FROG RIVER」という映画をご存知だろうか?レコード店で働くさえない美大生の日常を描いた、いわゆるB級青春映画なのだが、映画の冒頭で主人公の青年が自室でハウス・ミュージックをプレイしながら踊り狂うというシーンは動画サイトにアップされ、映画を知らない世界中のハウス・ミュージック・ラバーの間で話題となった。Technicsのターンテーブル、Ureiのミキサー、片耳のヘッドフォンでKerri Chandlerをプレイする姿はこれでもかというほどにベタで、それでいてハウス・ミュージックへの愛に満ちている。
DJ MAARがリリースした今作"House Clappers vol.1"もまた、そんなハウス・ミュージックへの愛が溢れた作品だ。DJ MAARといえば近年Dexpistolsとしての活躍が目立ち、あらゆるダンスミュージックをジャンル・レスにミックスしたスタイルで人気を博しているが、DJ MAARの音楽性を根底で支えているものは常に、ハウス・ミュージックなのだ。
"House Clappers vol.1"の序盤はまさにDJ MAARのルーツを全面に押し出した選曲で、Eddie Amador "House Music"やCajmere "Brighter Days"といった往年のハウス・アンセムが並ぶ。しかし、そこに古く臭さやチージーさを一切感じさせないのはDJ MAARの卓越したスキルと、時代感を捉えるセンスによるものだろう。中盤からはテックやファンキー、ベース・ミュージックといった最新の楽曲がミックスされているがここでも基盤となっているのはやはり、"ハウス"。新旧のトラックを織り交ぜながら、ハウス・ミュージックを再解釈、再評価するという内容になっている。
DJ MAARが新たにスタートさせたレーベル"ARCUS"のリリース第一弾となる今作。Eddie Amadorは「ハウスは誰にでも理解できる音楽ではない」と訴えたが、DJ MAARは新たな解釈で次の世代にハウス・ミュージックを伝えようとしている。
text:honeyee.com