honeyee.com｜Web Magazine「ハニカム」

前作"UNITED LEGENDS"では、ヴォーカリストとトラック・メーカーとのメールのやり取りのみで曲を作り上げていくという異例の手法でアルバムを完成させてしまった沖野修也。自らが実際に楽器を演奏したりプログラミングをしたりすることがなくとも、彼の企画力、プレゼンテーション力を持ってしてこそ生まれたこのアルバムはまぎれもなく沖野修也の作品であり、オリジナリティ溢れるものだった。

先日、DJとしてはおそらく世界で初めてのビジネス書「フィルター思考で解を導く」を出版したことからも分かる通り、沖野はあらゆる物事を論理的に読み解くことに突出して長けている。DJとしてのスキルはもとより、自らを徹底的に分析し、自分のセンス、何が武器となるのかを冷静に判断することで、一見奇抜とも思える手法が生まれるのだ。

ソロとしては第二弾となる今作"DESTINY"では、池田憲一(ROOT SOUL)をサウンド・プロデューサーに迎えて制作。10人のヴォーカリストと10人のプロデューサーを起用した"UNITED LEGENDS"とは対照的であるが、前作よりもアルバム全体の統一感が研ぎすまされ、沖野が頭に描く世界観がより忠実に再現されている。"JAZZ meets BOOGIE"がコンセプトとなる今作で、ベーシストでありブギーなベースを得意とする池田を抜擢したという点でも、沖野のDJ的審美眼、そして優れた企画/目標達成能力が発揮されていると言えるだろう。

ジャズやブギーのみならず、ハウスやディスコ・ダブといった要素までを内包した、セクシーでラグジュアリーなダンス・ミュージック・アルバム。既に世界中のトップDJによりプレイされているリード・トラック"STILL IN LOVE"をはじめ、沖野修也にしか作ることのできない世界水準のハイ・クオリティな作品に仕上がっている。

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