11 10/18 UPDATE
秋から冬にかけて、一年の中で最も感傷的なこの時期には、その地域ならではの温度感なのだろうか、北欧の音楽が特に心地良く響く。スウェーデンの才人、アクセル・ウィルナーがリリースした新作、「ルーピング・ステート・オブ・マインド」は疾走感溢れるビートと、北欧のアーティストらしい物悲しく張りつめた空気感がアルバム全体を覆う、傑作アルバムだ。
アクセル・ウィルナーのプロジェクト、ザ・フィールドは数枚のシングルを発表した後、2007年にドイツの名門テクノ・レーベルKOMPAKTからデビュー・アルバムをリリース。オーガニックなシンセ・サウンドと、ミニマルながらもポップさを併せ持った音使いといった、スティーブ・ライヒの傑作「ミュージック・フォー・エイティーン・ミュージシャンズ」を現代的に解釈したような楽曲で、テクノ・ファンのみならず音楽ファン全体を巻き込んだ人気を獲得した。
今作ではひたすらツー・コードとチョップされたボイス・サンプルで進行する、いわゆる"フィールド節"を随所に見せながらも、バトルスのドラマー、ジョン・スタニアーが参加した前作「イエスタデイ・アンド・トゥデイ」から見え隠れしていた、生楽器を使用したポスト・ロック的なアプローチを大々的にフィーチャー。中でも「バーンド・アウト」は、これまでのキャリアの中でも特にその色が濃く、ネクスト・レベルに達したフィールドの新境地を感じさせる。
洗練されたミニマル・テクノ・サウンドと、叙情性溢れるシューゲイザー・ロックの要素を併せ持った、フィールド独自の世界観。それをさらに押し進めた本作は、この季節ならではのセンチメンタルな心情を鮮やかに彩ってくれることだろう。
text:honeyee.com