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フィラデルフィア出身のヴォーカリスト/マルチ・インストゥルメンタリストのクリスティーナ・ライアットはその自由奔放な音楽性とセンスで、エレクトロニック・ミュージック・シーンにおいて現在最も注目を集めている女性アーティストの一人だ。度々ビョークを引き合いに語られる彼女だが、カッティングエッジなプロデュース・ワークやヴォーカリストとしての天性の歌声がいかんなく発揮されたRYATのニュー・アルバムを聴けば、そのことも大いにうなずける。
RYATはもともとクリスティーナのソロ・プロジェクトとしてスタートしたが、その後ギタリスト/コンポーザーのティム・コンリーが加入し、現在のデュオ編成となった。2010年はアルバム「AVANT GOLD」をリリースし、THE FLAMING LIPSやMEWのオープニング・アクトを務めるなど、シーンにおける評価を高め、様々なカルチャー、ライブ経験から影響を受けながら現在に繋がるRYATのスタイルを確立させていった。
その後も独自のペースで作曲、ライブ活動を続けてきた彼らだが、今やエレクトロニック/ビート・ミュージックシーンのトップに君臨するフライング・ロータスとの邂逅により、その活動は本格化する。RYATの音楽性とクリスティーナの歌声に惚れ込んだフライング・ロータスが、主宰するレーベルBRAINFEEDERからのリリースを直々にオファー。そして完成させたのが今作「TOTEM」だ。
エキゾチックなビートとインプロビゼーション要素の強いエレクトロニックサウンド。そこにクリスティーナの柔らかくも芯のある唯一無二のヴォーカルが乗り、無機質でありながら有機的、猟奇的でありながら優しくもある、独自の世界観を展開している。先述の通り、リリース元はフライング・ロータスのBRAINFEEDER。世界で最も先進的なレーベルが放つ、新たな才能だ。
text: yk
RYAT「TOTEM」
BRAINFEEDER
1,980円[税込]
2012年6月16日(土)発売