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1980年代後半から90年代中盤にかけて、マッシヴ・アタック、ポーティスヘッドといったアーティストを中心に世界的に大ブームとなった、ブリストル・サウンドと呼ばれる音楽。イギリス西部に位置する港湾都市であるブリストルには、その歴史的背景から様々なバックグラウンドを持つ人々が集い、ミックスされ、オリジナリティー溢れるアーティストやカルチャーが多数輩出されている。
ブリストル・サウンドもその産物の一つとして数えられ、ロック/パンク/レゲエ/ヒップホップといった様々なジャンルがブレンドされた独自の音楽性を持つ。ダビーで重々しいドラムと中毒性のあるダウナーなメロディが特徴的だが、そのどこか悲しみを帯びた世界観は、ブリストルという街自体が持つ雰囲気そのものを映し出しているのだろう。
冒頭に挙げた2組以外にもスミス&マイティーやトリッキーなど、ブリストル・サウンドを象徴するアーティストは複数存在するが、97年にマッシヴ・アタック主宰のレーベル「メランコリック」よりデビューを果たし、今回実に5年振りとなるニュー・アルバム「ELEVENTH TRIP」をリリースするアルファもまた、その歴史を語る上で欠かすことのできない重要なバンドの一つだ。
イギリスのメンディップ・ヒルズ、フランスのミディ・ピレネー、そしてブリストルなど様々な場所でレコーディングされ、3名の男女ヴォーカルを楽曲毎にフィーチャリング、シネマティックでメランコリックな美しいサウンドを完成させた本作。奇をてらうことなく、普遍的なブリストル・サウンドのマナーに忠実な作品となっており、往年のファンにはもちろん、新たにブリストルの音楽に触れる方にもオススメできる、至高の一枚だ。
text: yk
ALPHA "ELEVENTH TRIP"
RUSH! PRODUCTION x AWDR/LR2
2,200円[税込]
2012年10月31日(水)発売
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