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ソウル、ファンク、ジャズ、ロック、フォーク、ヒップホップなど、ジャンルの壁を越えて豊かな音楽を作り出してきたミシェル・ンデゲオチェロのニュー・アルバムは、2012年に生誕80周年を迎える孤高のシンガー、ニーナ・シモンに捧げた一枚。

ジャズ・シンガーとして広く認知されているニーナだが、そのバックグラウンドには意外にもアカデミックな教育を受けたクラシック音楽がある。他にもスタンダードからソウル、ロック、フォークといった当時流行の歌謡まで幅広い音楽をレパートリーにしながら、公民権運動が盛り上がった60年代の空気を大きく吸い込んだプロテスト・ソングをはじめ、ソングライターとしても高く評価された。

そしてニーナが自身の心に抱き続けていた深い闇と痛み、そして彼女の音楽を真に理解し、その意思を受け継いだ「ニーナの子供たち」の一人、ミシェル・ンデゲオチェロ。ニーナへのトリビュートを捧げるにふさわしいアーティストは、現代において彼女をおいて他にいないだろう。

今作「至高の魂のために〜ニーナ・シモンに捧ぐ」は、ニーナの数々の名曲をミシェルの歌声によって現在に蘇らせ、リズ・ライト、トシ・レーガン、ヴァレリー・ジューンといった、ゲスト・アーティストと共に、21世紀のソウル・ミュージックへと昇華させている

text: yk