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2006年にリリースした「Burial」、続く2007年の「Untrue」といった作品でシーンに突如出現したロンドン出身のプロデューサー、ブリアル。電子的にピッチを変更したソウル系のボーカル、強烈なダブ・エフェクト、ユニークなサンプリングテクニックといった強烈なオリジナリティはシーンに衝撃を与え、今やエレクトロニックミュージック・シーンにおいてカリスマ的な人気を誇っている。
その圧倒的な知名度にも関わらずDJ/ライブ活動などは一切せず、メディアにもほとんど素顔を晒すことのないミステリアスな存在。2007年のアルバムリリース以降はしばらくソロ・リリースを行わず他アーティストとの共作に専念するなど、その活動はマイペースなものだが、そのスタンスがさらにブリアルの存在感を異質たらしめている。
そんな活動のなかで発表されたトム・ヨークとフォー・テットとの「Ego / Mirror」、マッシヴ・アタックとの「Four Walls / Paradise Circus」といった12インチ限定のコラボレーション・シングルはダブステップという枠を越えて広く支持を受け、その後はソロ名義でも作品をリリース。今年リリースされた『Street Halo / Kindred』では、ダブステップから新たなモードへと向かうグラデーションが見られ、その後の動向には常に注目が集まってきた。
そして、その前作での示唆を発露する最新作「Truant」。これまでの『ブリアル・サウンド』とは一線を画す多幸感溢れる展開。多くを語らないブリアルだからこそ、この曲の意図すべきところはリスナーに委ねられたまま多くの解釈を生むことになるだろうが、この作品こそが彼の最新形であり、彼が今いる場所。人前に立つことのない彼の居場所を知るには、彼の作品に触れるしかないのだ。
text: yk
Burial「Truant」
Hyperdub / Beat Records
1,250円[税込]
国内盤のみブリアル・ロゴ・ステッカー封入
2012年12月15日(土)発売