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UKロック・シーンの問題児ノエル&リアムのギャラガー兄弟、もしくはそのいずれかについて語る際、オアシスの名に触れないわけにはいかないが、解散してしまったバンドをいつまでも引き合いに出すことは通俗的な懐古主義であり、それこそリアムが非難する「90年代のようなくだらないこと」なのかもしれない。
兄弟の喧嘩別れによってオアシスが解散となって以降、リアムはノエル以外のメンバーと共に新バンド、ビーディ・アイを結成。デビュー作「ディファレント・ギア、スティル・スピーキング」は世界各国で高い評価受け、日本でもゴールド・ディスクを獲得、その注目度の高さと圧倒的な人気を見せつけた。とはいえ、様々な媒体でのレヴューやリスナーの声を聞けば、ノエルのソロ作「ノエル・ギャラガーズ・フライング・バーズ」も同様に、ファンにとっては"オアシスの続編"として受け入れられていた節があったことは否めない。
TV・オン・ザ・レディオのデイヴ・シーテックをプロデューサーに迎えて完成させた今作「ビー」について、リアムは海外メディアのインタビューで「新作は"モーニング・グローリー"以降、オアシスが作るべきだった作品」と語った。しかし実際にはそれを成し遂げられなかったことを考えれば、オアシスでは作ることができなかったアルバム、今のリアムとそのメンバーにしか完成させることができなかった作品、ということだ。
ネット上では既に話題沸騰中であり、facebook上にアップされたトラックリストに記載されていた「Don't Brother Me」というタイトルは、ファンを一層加熱させることに十分な役割を果たしているが、今作は是非"オアシスのリアム"ではなく、リアム・ギャラガーという一人のアーティストの現在を映し出した作品として聴いてほしい。
text:yk
ビーディー・アイ「ビー」
SONY MUSIC JAPAN
2,520円[税込]
2013年6月5日(水)発売