honeyee.com｜Web Magazine「ハニカム」

これまでに7枚のオリジナルアルバム、また数々のシングル楽曲を世界中のレーベルから発表するほか、DJとしても勢力的な活動を続けるシーンのトップランナー・SUGIURUMNが、ニューアルバム「20XX」をリリースする。

壮大で華やかなイメージが強かったこれまでのSUGIURUMN作品からすると、意外なほどにミニマルで無骨にも感じられる今作だが、それは同時に、長きにわたってダンスフロアと対峙してきた彼の"今"が如実に表現されたものであり、「200XX年のクラシック」というコンセプトの通り、多くの音楽が生まれては忘れられていく現在においてもなお、未来へと受け継がれる可能性を大いに秘めた作品となっている。

ダンスミュージック本来の魅力を存分に表現するべく、ドラム・キットとベース、そして適度なシンセサイザーといったごく限られた機材のみを駆使し、しかし一音一音は驚くほど綿密に磨き上げられた音の結晶。最小限の音でこれほどまでに迫力のあるサウンドスケープを描くことができるのは、SUGIURUMNのセンスとキャリアならではの賜物だろう。

全国各地でのDJ、"毎週リリース"というコンセプトを守り続けるBASS WORKS RECORDINGSの運営、そして自身の楽曲制作。そのフレンドリーな人柄とは裏腹に、誰よりもストイックに、真摯に音楽と向き合い続けてきたSUGIURUMNの最新形が、ここに完成した。

text: yk