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90年代半ばからキャリアをスタートし、着実にそのスキルと人気を高めてきたDJ／プロデューサーのGONNO。2011年にニュー・ディスコ／バレアリックの名門レーベル International FeelからリリースしたEP『ACDISE #2』は、日本人アーティストから生まれた数少ないフロアアンセムとして世界中のDJによってプレイされ、大ヒットを記録。以降、それまでの葛藤や苦悩から解き放たれたかのように数々の楽曲をコンスタントにリリース、またダンスミュージック系のアーティストにとってはスターダムへの登竜門とも称されるBoiler Roomに出演するなど、日本を代表するプロデューサーとしての地位を確立した。

そして、2005年に国内レーベルWC Recordingsからリリースしたファーストアルバム『My Existence』以来、実に10年ぶりのニューアルバムとなる今作『Remember The Life Is Beautiful』は、先述の『ACDISE #2』でのブレイクスルー以降の音楽性をさらに突き詰め、凝縮した珠玉の作品集。シンプルながら緻密に計算され尽くしたビートに暖かなシンセサウンド、メロディアスかつトリッピーなメロディ...それら全ての要素がお互いを引き立て合うかのように配置され、他では聴くことのできない圧倒的なオリジナリティのあるサウンドに仕上がっている。

壮大なサウンドスケープを描くM-1 "Hippies"、よりダンスフロアを意識したと思われるミニマルなテクノグルーヴを展開するM-3 "Stop (Album Version)"、オーガニックなシンセサイザーの音色と時折鳴らされる物憂げなピアノがただひたすらに美しいM-7 "Already Almost"などアルバムを通して楽曲ごとにその表情を変えながらも、それらを形容する言葉は"GONNO"以外には見当たらない。現在では国内のプロデューサーが海外の名門ダンスミュージックレーベルからリリースすることも珍しいことではなくなったが、本当の意味で世界を舞台に勝負することができる日本人アーティストが登場したことを確信させる、大傑作アルバムだ。

text: yk