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やくしまるえつこ『わたしは人類』

やくしまるえつこ『わたしは人類』

音源と、その情報がDNAに組み込まれた微生物という形式で発表された新曲

16 9/16 UPDATE

やくしまるえつこが新曲『わたしは人類』をApple MusicとiTunes Storeにて配信中。国際芸術祭「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」のテーマソングとなっている本作は、バイオテクノロジーを用いてやくしまるえつこが作詞・作編曲した楽曲と、その楽曲の情報を組み込んだ微生物から構成される。

CDや楽譜といった様々なメディアと音楽の関係性が、遺伝子とDNAの関係性に、「伝達・記録」という点で類似していることから、微生物を音楽のメディア(記録媒体)として使用する試みがなされている『わたしは人類』。作曲は、らん藻(シアノバクテリア)の一種である微生物、シネココッカスの塩基配列を利用して行なわれ、さらに、その楽曲の音楽的情報からDNAを人工合成し、シネココッカスの染色体に組み込んだ。楽曲が「記録」された微生物は自己複製し続けることができるため、人類が滅亡した後も生存し、情報を保存するメディアとなる。『わたしは人類』というタイトルが示すように、この楽曲は人類以後の生命体に「伝達」するための「人類滅亡後の音楽」なのだ。

『わたしは人類』の微生物と、同作の世界観とリンクするやくしまるえつこの楽曲『ロンリープラネット』を染色体に組み込んだ微生物は、渋谷道玄坂に位置するFabCafe MTRL内のBioLab(バイオラボ)にて展示される。なお、『ロンリープラネット』の微生物の展示は9月30日(金)まで、『わたしは人類』の微生物の展示は11月10日(木)から11月20日(日)まで。

バイオテクノロジーを用いて制作した楽曲をポップミュージックとして流通させ、その楽曲が組み込まれた微生物を「音楽作品」として展示する試みは世界初であり、経済産業大臣から認可を受けて実施されている。音楽で人類史を超越しようと試みる、壮大な表現に要注目だ。

text: Ryu Nakaoka

左の画像:やくしまるえつこ『わたしは人類』
Apple Music / iTunes Store にて先行配信中
iTunes Store
Apple Music

右の画像:やくしまるえつこ『わたしは人類』展示
日時:第一期9月16日(金)~9月30日(13:00〜18:00)
   第二期 / 11月10日(木)~11月20日(日)(13:00〜18:00)
展示内容:やくしまるえつこの楽曲を組み込んだ遺伝子組換え微生物作品の展示
第一期の楽曲『ロンリープラネット』
第二期の楽曲『わたしは人類』
会場:FabCafe Tokyo
東京都渋谷区道玄坂1丁目22-7 道玄坂ピア
fabcafe.com/tokyo
*入場無料

「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」
会期:2016年9月17日(土)~11月20日(日)
開催市町:茨城県北地域6市町(日立市・高萩市・北茨城市・常陸太田市・常陸大宮市・大子町)
公式テーマソング:やくしまるえつこ『わたしは人類』
kenpoku-art.jp