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THINK PIECE

What's The Problem, Jamaica?

JUSTICE のグザヴィエがプロデュースするJAMAICAをパリでキャッチ・アップ!

10 9/8 UP

Text & Photos: Shoichi Kajino

JUSTICEのグザヴィエがプロデュースをつとめたことで俄然注目を集めるパリジャン・バンド、JAMAICA。
この夏はアルバムもリリースしていないのに各国のフェスティバルから引っ張りだこ、
そして待望のデビュー・アルバム『NO PROBLEM』がついにドロップされたばかりのJAMAICAの2人をパリでキャッチ・アップ。
レゲエでもラスタでもなくともNO PROBLEM! 新世代のフレンチ・インディを牽引するバンドとなるか?

 

ジャマイカ

フランス・パリ出身のインディ・ロック・バンド。アントワン・ヒレール (vo、g)とフロー・リオネット(vo、b)の2人組。もともとは3人組のギター・ロック・バンド、PONEY PONEYとしてデビュー。Justiceのグザヴィエがプロデュースした「Cross The Fader EP」(2008年)などをヒットさせる。その後2人組となりバンド名をJAMAICAに改名。ニューウェイヴからエレクトロまでを内包したソリッドなギター・サウンドを持ち味に、ダンサブルなロックを展開している。

http://jamaicanoproblem.fm/

 

──
どのようにJAMAICAはスタートしたのでしょう?
アントワーヌ(以下A)
「最初はフロがやっていたバンドにヴォーカルとして誘われたんだけど、同時に僕はPoney Poneyというバンドを構想して曲を書いてたところだったから、逆に彼をこのバンドに誘ったんだ。それでPoney Poneyという名前でしばらく活動してたんだけど、ドラマーが抜けたタイミングでバンド名をJAMAICAにして僕ら二人のユニットになったんだ」
──
Poney Poney時代からずっとギター、ベース、ドラムといったスリーピース・バンドですね。
A:
「それがロックバンドの最小のベーシックだからね。最小限で何ができるかという挑戦みたいなところもあるけど、その簡潔さが気に入っているんだ。スリーピースのバンドでいえば、ポリスやニルヴァーナといういい例もあるし、なんといってもツアーに出てもお金がかからないしね……(笑)。さらに僕らは実際二人だからもっと簡単だよ。WHITE STRIPESだってそうだっただろう?」
──
若い頃からどんな音楽に影響を受けてきましたか?
フロー(以下F)
「ポリスとダイアー・ストレイツ。10代になったばかりの頃はビースティ・ボーイズ,パンテラ、スーサイダル・テンデンシーズ、ピクシーズかな」
A:
「僕はもっとベーシックなビートルズだったりニルヴァーナ」

──
え、ビートルズとニルヴァーナが同じレベルでベーシック(笑)?
A:
「僕の世代にとって若い頃、すでにみんなニルヴァーナはベーシックだったよ」
──
レコーディングはピガールのフィリップ・ズダール(CASSIUS)のスタジオだったんですよね? (JUSTICEの)グザヴィエがプロデュースで。
F:
「ズダールのスタジオは、ただ場所を借りただけで、実際フィリップに音を触ってもらったわけではないんだよ」
A:
「ちょうどトイレの工事中だったから、安く貸してくれて……。そこでグザヴィエと一緒にレコーディングの作業をして、最終のミックスはグザヴィエの自宅でやったんだ。スタジオから彼の部屋までコンピュータを運んだだけでね」

 

──
そもそもなぜJUSTICEのグザヴィエにプロデュースをまかすことになったんでしょう?
A:
「最初、Poney Poneyの時代にレコーディングする際、彼にコンピューターでの作業を彼に頼んだことがあったから、今回初めてのアルバムを作るにあたっても、そういった作業を全部彼に任せようと思ったんだ。そういう仕事は多分二人よりも一人の方がやりやすいだろうし、グザヴィエが僕らのプロデュースをしている間、ギャスパーは久しぶりに彼の休暇を楽しんでいたみたいだよ(笑)」
──
ズダールのスタジオで作業し始めたのはちょうどフェニックスが『Wolfgang Amadeus Phoenix』のレコーディングを終えて、ミキシングをしてる最中だったそうだけど。
F:
「よーく耳を澄まして聴くとフェニックスの『リストマニア』のパートが聞こえるパートがあるんだ(笑)」

──
それは衝撃的な事実ですね。
A:
「結局最終のミックスで使ったんだっけ、その録音?」
F:
「いや、結局はボツにしたのかな…。その後、ズダールがすごい性能のヴィンテージのマイクを貸してくれてそっちのマイクで録り直したから。そのヴィンテージ・マイクはあの『We Are The World』のレコーディングに使われていたもので、そのヴィデオでも見れるんだ」
F:
「確か、ブルース・スプリングスティーンがそのマイクで歌ってた」
A:
「そのマイクのおかげですごく良い録音ができたよ。このアルバムの成功の50%はそのマイクのおかげだったと言ってもいいくらいさ」
──
アルバムが完成してからはずっとツアーですね? ライヴではスタジオとは全く違ったパワーがあるような気がしますが。
F:
「うん、時にはトゥー・マッチなほどにエネルギーにあふれていて、自分たちでも怖いくらいだ」
A:
「言っていいのか分からないけど、僕はまだオーディエンスを見れないままでステージに立ってることがあるよ。サウンドエンジニアだったり、自分の足下ばかりをみて演奏してる……時々フロやドラマーのダヴィッドを見て、僕ら大丈夫だよねと目で確認し合っている(笑)。これまでパリ市内の200~300人くらいのキャパのヴェニューでばかりライヴしてたから、まだ大きなステージに慣れないんだ」