KENTO MORI
マドンナも認める世界的ダンサー、
ケント・モリが捉えるダンスの形
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Photo:Takeshi Hamada Text:Takeshi Kudo, Satoko Muroga[RCKT / Rocket Company*]
昨年夏、マドンナのコンサートで急逝したマイケル・ジャクソンの追悼ダンスを披露し、一夜にして世界中から注目を浴びた日本人ダンサー、ケント・モリ。彼の初となる自叙伝が、マイケルの一周忌である6月25日に発売された。彼の眼に映るアメリカショービジネスの裏側とは、そして彼が目指す表現者としての頂とは。
KENTO MORI
2008年、マドンナの専属ダンサーに選ばれワールドツアーに参加。2009年にマイケル・ジャクソンの専属ダンサーに選ばれるも自ら辞退。現在はアメリカでチャカ・カーンやニーヨのダンサーを務めながら、世界を舞台に活動の幅を広げている。今年6月、自叙伝『Dream&Love』(扶桑社)を発売。
http://kento-mori.com
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- それは、つまり文化の違いということ?
- 「お笑いの世界に似ていると思うのですが、例えば志村けんさんのような100を10000に、10000を0という笑いだったら世界中の誰もが理解できる。でも、ダウンタウンの松本人志さんがやるような、100と91、91と103を比較するような繊細な笑いって、アメリカ人にはわからないと思うんです。でもそれが、ダンスエンタテイメントの世界では逆転する。マイケル・ジャクソンがムーンウォークをやれば盛り上がることなんてわかりきっている。彼は何もかも持っていた人だから、リズムの刻み方や指一本の指し方、振り向くだけの動作だって、そこに込められた感情表現がすごいのに、日本人にはそういう繊細な表現があまり見えていないと思う。それにアメリカの方が、良いものは良いとシンプルに評価される世界。だから簡単にキャリアが伸びるし、逆に悪かったら永遠にステップアップすることはないんです」
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- 著書にも詳しい経緯が記述されていましたが、マドンナとの契約で、(オーディションを勝ち抜いていた)マイケルのツアーへの参加を断念せざるを得なかった。そういう厳しさというのは、モチベーションになるんですか、それともストレスになるんですか?
- 「両方ですね。最初は、『紙一枚にサインしただけで、僕がずっと抱いてきた人生の夢を失うの?』というストレスを拭い切れなかった。でもしばらくして『また次にチャンスが巡ってきたとき、自分がちゃんと準備できているよう前を向くしかないんだ』と思ったら、前進することができた」
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- マドンナと仕事をして、いわゆるショービジネスの厳しさみたいなものは感じましたか?
- 「それはもう多大に。こんな実話があって、マイケルの専属ダンサーだった人が本番数日前のリハーサルで帽子を床に落としてしまった。彼はそのひとつのミスでクビになり、次の日には代わりのダンサーがLAから飛んでくるような厳しい世界。マドンナだって、オーディションでは、どんなにキャリアのあるダンサーでも新人と同じラインで勝負させる。そのときのダンスが駄目なら落とされるし、彼女が良いと思えば採用されるというシンプルなもの。だからこそ厳しいんです」