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Devendra Banhart interview

デヴェンドラ・バンハート、一夜限りの来日決定!

11 7/21 UP

composition:Detz Matsuda(doubt everything) photo&text:Erina Uemura interview:Matthew Chase translation:Johna

アメリカ・テキサス州出身のシンガーソングライター、デヴェンドラ・バンハート。
母親がベネズエラ人でもあることから幼少期をベネズエラで過ごした。
彼の音楽はサイケデリック、ネオアシッド・フォーク、ロックまでをカバーする。
画家でもある彼はシャネルの広告にも出演するほと洗練されており、
かつ圧倒的な存在感を放つ。
また4月にはThe Strokesの前座としてNYマジソンスクエアガーデンのステージに立った。
そんな彼の1夜限りの来日公演が8月4日 東京リキッドルームで行われる。

 

──
曲作りを始めたのはいつからですか?
「12歳かな。そのときは美容整形についての曲を作ったんだ。南米ではどの国よりも多くの美容整形が行われているんだ。そういう無意味なことをする人が本当に多くいたんだよ。顔や目、骨の整形だったり、動物の体の一部を自分の体に埋め込んだり。たとえば子牛の一部をお尻に使ったりとかね。(僕が作った)その曲は"人はみな死ぬ"というタイトル。アンチ整形の曲なんだけど、その曲を友達のドラムに合わせて家族の前で歌ったんだ」
──
ベネズエラの音楽だったり、フランスの音楽(とくにパリ)はあなたに大きな影響を与えましたか?
「もちろん。シモン・ディアス(ベネズエラのフォルクローレ界の巨匠)には大きな影響を受けたよ。彼はベネズエラの音楽に多大な影響を与えた人なんだ。彼は常にベネズエラの自然や美しさについて歌っていた人なんだ。一度も政府に加担しなかったし、いつも平和に貢献する活動をしていて、奴隷にされる前のネイティブアメリカン先住民達の支援もしていた。彼は本当にかっこいいんだ。とにかく僕はサンバだったり、メレンゲ(ドミニカとハイチで生まれた2ステップの社交ダンス)やクンビア(コロンビアミュージック)を聴いて育ったんだ。クンビアはカラカス(ベネズエラの首都)にいたら避けて通れない音楽。もし君がカラカスの街を歩いていたら、サンバやサルサ、クンビア等の音楽が街のいたることこから聞こえてくるはずだよ」
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LAのクンビア音楽についてはどう思いますか?
「LAにはたくさんのラテン文化があって、それが混ざり合っているね。仮に君がクンビアとヒップホップ、テクノをミックスさせると、それは俺の知ってるクンビアではなくなるけど、すごく面白いと思うよ。俺はそういう変化が大好きなんだ。自らそういったミックスされたものを聴くことはないと思うけど、そういった変化はいいことだと思うよ」
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LAのミュージシャンについて伺います。Leonard Cohenの“スザンヌ”という曲をBeckと一緒にカバーされてますね。
「Leonard Cohenのファーストアルバムを全曲カバーしたんだ。Beckのレコードクラブでね(Beckが仲間を集めて、昔の名盤を丸ごと1枚カバーするというセッション)。Beck, MGMT, Fab(The Strokesのメンバー)とみんなで午後の1時から深夜までセッションしたんだ。本当に最高だったよ!Beckのバンドスタッフと一緒にレコーディングしたんだ。Leonard Cohenの音楽は大好きだよ」

 

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あなたは自信の新しいアルバム "What will we be" で、The Beesのポール・バトラーとレコーディングされてますね。
「素晴らしいアルバムを作るには彼しかいないと思ったんだ。ポールはイギリス出身でありながらブリティッシュ・ソウル、ブラジリアン・トロピカーナ、アフリカン・ソウルなど全ての音楽をやっている人物。それを知ったとき彼に興味がわいて彼の音楽を聴き始めるようになったんだ。そして一緒にレコーディングをすることをお願いしたんだけど、本当に最高の人だったよ。このアルバムはすごく伝統的なアルバムなんだ。実験的はことはあまりしていないし、ポップソングだったり単色のワンピースのような……とにかく冒険的なリスキーなことをしていないんだ。少なくとも自分ではそう思ってる。次でまた同じようなことをしたいとは思わないけどね」
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レーベルをインディーズからワーナーに戻ったことも関係していますか?
「そうだね。俺たちはレーベルが要求してるアルバムとは違ったものを作ったんだ。インディーズで作るということは、暗闇で何かをするような、ちょっとだけ怖いような……。でも俺たちはインディーズからリリースするにはぴったりの良いアルバムを作ったんだ。だからこそ、それはメインストリームにおいてはハイファイなアルバムになったと思ったんだ。それで結局ワーナーと契約したんだ。今もまたワーナーで新しいアルバムを作ってるんだ。インディーズのようなアルバムを作る保証はできないけどね(笑)」
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それって今の時代とは逆な流れを行ってる感じですね。
「まさにそうだね。みんな挑戦してみるべきだと思う。今、メジャーレーベルは全てのビジネスモデルを見直しているんだ。それはアーティストの期待することだったり、与えるものだったり、インターネットの結果だったり、メジャーレーベルでこれまで基礎だったことの崩壊についてとか。これはメジャーレーベルに限ったことではなくて、音楽ビジネス全般に言えることだけど、それらはメジャーレーベルが俺らのようなバンドをインディーズのように扱うことを可能にするんだ。俺の世界一大好きなバンドのひとつである "Bulit To Spill" のような素晴らしいバンドも同じレーベルにいるんだ。そんな素晴らしいバンドがいるってことが重要なんだ。みんなそういうレーベルを望んでいるけど、ほとんどはそうじゃない。バンドのやることに何も言わず見守ってくれるレーベルがいいけど、ほとんどはバンドのすることに文句ばかりで、考えを押し付けるようなとこが多いんだ。結局、俺たちを一番インディーズとして扱ってくれるワーナーと契約したんだ」