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THINK PIECE

Fatboy Slim at The Beach

ファットボーイ・スリム2年ぶりの来日。世界No.1 DJの"現在"。

11 6/13 UP

photo:Masanori Naruse, KOTARO text:honeyee.com

25年間以上に渡るそのキャリアの中で数々の伝説を築きあげてきた、
問答無用の世界No.1 DJ、ファットボーイ・スリムことノーマン・クック。
一見、順風満帆に突き進んできたように見える彼だが、その軌跡はまさに紆余曲折。
様々な困難を乗り越えた先に辿り着いたファットボーイの"現在"。

 

──
今回は震災の影響で海外アーティストの公演キャンセルが相次ぐ中、来日していただけたことを喜んでいるファンも多いと思います。
「今回日本で起きたことをニュースで見て、すごくショックを受けたよ。日本にはたくさんの友達がいるしね。日本に来ることに唯一躊躇したのは、このような状況の時にパーティをやることが正しいことなのか分からなかったということ。でもプロモーター達の「こんな状況だからこそ」という気持ちもすごく理解できたし、ディズニーランドも再開したということもあって、来日を決めたんだ。僕自身、日本のために何かできないかと感じていたから、今回のBig Beach Festivalで販売される僕のTシャツやグッズの売り上げは全額被災者の方々のために寄付することにしたんだ。とにかく、今回日本で起きたことは本当に残念でならないよ」
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先日、日本限定のベスト盤「Best Of At The Beach」をリリースされましたが、新曲の制作はされていますか?
「最近デヴィッド・バーンとのコラボレーションやBPAのアルバムはリリースしたんだけど、ここ数年、Fatboy Slim個人として新しいものを生み出そうという気になれなかったんだ。娘が産まれて、ゆっくりスタジオに入る時間がなかったというのもあるんだけど、明確なヴィジョンとそれに向ける情熱がないといい曲はできないからね。でも、いつかは皆に最高の新曲を届けたいと思っているよ!」
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相変わらず多忙な毎日を過ごされているんですか?
「今はブラジル、アメリカ、日本や中国と、長期で世界中をツアー中だけど、イギリスにいる時は週末にDJをして、平日は家に居て良い夫と父親をしているよ(笑)。昔はDJをやって自分の制作もして、という状況だったから、音楽が嫌になることもあったけど、今は週に2日はDJ用に新譜のチェックをしているし、趣味としても自分の好きな音楽をじっくり聴く余裕もできてきたんだよ。若い頃は仕事づくめだったんだけど、25年も活動してきて、1週間毎日働く必要もないと感じ始めたんだ」

 

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余裕ができてきたとはいえ、長時間のフライトや海外での滞在というのは肉体的にも精神的にも厳しいものですよね。
「昔はお酒に逃げていて、ほとんど中毒のようだったんだけど今はお酒もやめて健康を維持することで、自分の仕事を心から楽しむことができているよ。それに、コンピュータが発達したことによって簡単に音楽をチェックすることになったことや、スカイプで家族とコミュニケーションが取れるようになったことも大きいかな。昔は滞在先のホテルでCNNを見ながらブラッディ・メアリーを飲むぐらいしか暇つぶしができなかったからね(笑)」
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Fatboy Slimの音楽は「ハッピー」という言葉で形容されることが多いと思うのですが、ノーマンさん自身がそうであるためにどのようなコントロールをされているのでしょうか?
「長くキャリアを続けていれば、良いことも悪いこともたくさんある。でも良い時も悪い時も、自分が素直に好きなこと、やりたいことを思いっきりやっていればいいのさ。僕の場合はそれが音楽だった。僕から音楽を取ったら抜け殻になってしまうだろうね(笑)」