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THINK PIECE

Gildas extends "Kitsuné Maison"

最新作"Kitsuné Maison 11"。Gildasが語るKitsunéの今、未来。

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photo:STRO!ROBO text:honeyee.com

Kitsunéの大人気コンピレーション"Maison Kitsuné"。
かつて世界を席巻したエレクトロムーブメントの火付け役となり、
現在も常にフレッシュなサウンドを世界へ発信し続けている。
今回で実に11作目となるロングラン・シリーズから見るKitsunéの今、そして次に目指すステージとは。

 

──
今回で11作目となるKitsuné Maisonですが、スタート時からロングラン・シリーズになることは想定されていたんですか?
「いえ、当初はこれほど長く続くものになるとは思ってもみなかったです。ただシリーズが増えるにつれ僕たちの音楽に興味を持ってくれる人達も増えていきましたし、今ではたくさんのファンが新しいKitsuné Maisonを楽しみにしてくれていますからね。シリーズが長く続くと飽きられてしまいやすく、大変なことも多いのですが常に高いクオリティとフレッシュさを保って続けています。ファンの皆さんの期待がモチベーションになっていますね」
──
今作は"Indie Dance Issue"というタイトルがつけられていますが、前作"The Fireworks Issue"とは何か違うコンセプトがあるのでしょうか?
「Kitsuné Maisonシリーズは常に、僕たちが好きな音楽をコンパイルするということで一貫しているので、コンセプトという点では特に変わりはありません。ただ今作はTwo Door Cinema Clubのリリース以降、Kitsunéが続けてきたインディーとダンス・ミュージックがクロス・オーバーした音楽というものを、より色濃くしたものになっていますね」
──
最近の作品では初期の頃にあった打ち込み系の音よりも、バンド・サウンドがフィーチャーされたものが増えていますね。
「確かに初期の作品にはエレクトロニックな曲が多いですね。僕たちはDigitalismやAlex Gopher、Boyz Noize、Yuksekといったアーティストの音楽が大好きですから。ただ、そういったダンス・ミュージックと平行してビッグ・フェスティバルでプレイするようなバンドの音楽もKitsunéのテイストの一つなんです。私は昔からNew OrderやHappy Mondaysの様なバンドが大好きで、それがKitsunéの音楽性のベースにもなっていると思います。個人的に、最近はバンドよりの音楽のほうが気分にマッチしていることと、素晴らしいバンドに巡り会う機会が多かったことが、最近の楽曲のセレクトにも反映されていますね」

 

──
レーベルが大きくなった現在もA&Rはジルダさん一人で行っているそうですね。
「レーベル業務を手伝ってくれるスタッフはいるんですが、実際のセレクションに関しては今も私一人で行っています。昔は送られてくるデモの中から新しいアーティストを発掘することもあったのですが、今では毎週500以上のデモが届くので、全てをチェックすることが難しくなってきてしまっています。最近はむしろ、自分の足で歩き回って探すことの方が多いですね」
──
これまでKitsunéはDigitalismやDelphic、Two Door Cinema Clubなど、大ヒットを生み出すアーティストをコンスタントに排出しているように思うのですが、どのような流れで新人のアーティストとサインするのでしょうか?
「インターネットでのフリーダウンロードやブログなど、これだけ音楽が氾濫した移り変わりが激しいマーケットの中で、新人アーティストとサインするというのは非常にリスキーなことなんです。かつては曲さえ良ければいいという時代もありましたが、今は曲が良いというだけなく、ライブ、マネジメント、人柄など、全ての要素が高い次元で実現して初めてサインに至ります。その内のどれか一つでも足りなければ、そのアーティストがヒットを生むことはないと思っていますからね。また、Kitsunéは長いタームでアーティストと付き合っていくスタンスのレーベルなので、人柄というのは最も重要なファクターでもあります。アーティストとの出会いばかりは運命としか言いようがありませんが、パソコンの前に座ってリサーチするだけではなく、実際にライブに足を運んでシーンやアーティストの雰囲気を感じることが重要だと思っています」
──
最近ではIs TropicalやHousse de Racketといったアーティストとサインされましたが、彼らはどのようなバンドなんですか?
「Is Tropicalはロンドン出身のすごくクリエイティブでユニークなバンドです。Kitsunéからは"Native To"というアルバムをリリースしていて、そこに収録されている"The Greeks"という曲のプロモーション・ビデオがシーンを越えて話題になっていますね。とても若くてフレッシュな才能を持ったバンドなので、一緒に仕事をしていてとても楽しいです。また、Housse de RacketはKitsunéが契約した初めてのフランス人バンドです。彼らはBenjamin Diamondのバックバンドとしても活動してきたのですが、とにかくライブが素晴らしいんです。正直、私が今まで見てきた中で最高のバンドですね。フランスでは既に人気があるのですが、それ以外ではまだよく知られていないので、これから時間をかけてプッシュしていく予定です。8月にはKitsunéからアルバムがリリースされるので、今後確実に世界を席巻するバンドになりますよ」