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THINK PIECE

Shintaro Sakamoto

「一回死んでから楽しくやるみたいな感じ」

11 12/16 UP

photo:Yuji Hamada text:Akane Fujioka location:LIQUIDROOM

昨年の3月末、「この3人で、やれることは全てやりきった」という声明文と共に、究極のサイケデリック・ロックバンド、ゆらゆら帝国は解散した。そして2011年11月18日、坂本慎太郎がファーストソロアルバム『幻とのつきあい方』を遂にリリースするという吉報を聞き、遅ればせながらインタビューを敢行。音楽のことはもちろん、自作されたPV、音楽以外のことまで、坂本慎太郎に話を聞いた。

坂本慎太郎

67年、大阪生まれ。多摩美大卒。89年、ヴォーカル&ギターを担当しゆらゆら帝国を結成、90年に亀川千代(ベース)が加入。97年より柴田一郎(ドラム)が加入し3人で活動を続け、国内外のファンから絶大な支持を受けつつも、2010年3月31日に解散を発表。解散後、2編のDVDボックスを発表。2011年、salyu×salyu 『s(o)un(d)beams』に3曲作詞で参加。自身のレーベルzelone recordsを立ち上げ、ソロ活動をスタート。


 

──
ファーストソロアルバム『幻とのつきあい方』がリリースされてから何日か経ちまして、巷では「今年の邦楽ベスト」という声も聞こえてきますが、周りの反応はいかがでしたか?
「狭い世界の話で、友達レベルだと色んな感想ありますけど……」
──
みなさん何ておっしゃってます? 例えば、元ゆらゆら帝国プロデューサーの石原さんは“死の匂い”とおっしゃっていたそうですが。
「そうですね、結構40代の人はそういう感想が多いですね。あんまり若い人の感想を聞いていないのですが、同年代の人は“死の匂い”みたいなことを言う人が結構いて自分でも驚いています。全然感じないという人もいるんですけどね。あと、繰り返し聴けるという感想もありました」
──
ゆらゆら帝国の頃は、ジャケットに坂本さんご自身が写られたことがなかったと思うのですが、今回はマネキンとツーショットで登場されてますね。
「内容と全体の感じから、絵じゃなくて写真がいいかなと。マネキンはネットでレンタルしてるところを探して、少し昔のタイプのマネキンをリースしているところを見つけたので、そこで借りたんです」

──
バンドを解散されて3人からおひとりになられたわけですけど、精神的に楽になられたりとか気持ち的な変化はありましたか。
「ゆらゆら帝国は、あの3人じゃないと出来なかったことなので、同じ方向性でやっても越えられないということは分かっていました。なので解散して新しく誰かとバンドを組んでやるという発想は全くなくて、そうした時に今回のようなひとりで全部やるアルバムを作るというのが、自然で自分の中でしっくりくる感じだったんです。ひたすら家にこもってひとりで作業したり、考えたりしてる時間が一番居心地が良かったですね」
──
今まではゆらゆら帝国として20年間アウトプットし続けてきたと思うのですが、解散してからの約1年半で何か特別にインプットされたことはありますか。
「ずっと自分のアルバムの作業ばかりしていたので、インプットはあまりしていなかったですね。レコードもあんまり買ってなくて、映画や本も時間が無くて全然読んでいませんでした」
──
そんな中、『美しい』のPVを作られた天久(聖一)さんが脚本、演出されていたシティボーイズのお芝居を観に行かれたそうですね。
「そうですね、すごい良かったですよ」
──
他にもお芝居やライヴなどは行かれましたか。
「全然行ってないです」
──
中野ブロードウェイはたまに行かれるとお聞きしましたが。
「もう無くなっちゃったレコード屋と中古の楽器屋さんがあったので、そこを見に行ったりとか、そんなもんですけどね」
──
テレビは観ます?
「ニュース番組ぐらいですかね」
──
もしお気に入りの女子アナがいれば教えてください。
「いるけど、言いたくないです」

 

──
解散後は、「誰も知らない世界で、第二の人生を歩みたい」と思われたそうですが、今行きたい外国はあります?
「あー、まあね、ちょっと言っただけです、それは……。今行きたい国は特には無いですね。でも日本の田舎とかは行きたいですね。行ったことのないところへ。北でも南でもどこでもいいですけど……」
──
では、解散後はどう過ごされたのですか。
「今年に入ってからはこのアルバムの作業しかしてないです」
──
ベースは初体験だったそうですが、メンバーだった亀川さんにベースのことを聞いたりしましたか。
「聞いてないです。ベースとかコンガを練習する時は、YouTubeを見て独学で練習しました」
──
亀川さんや柴田さんとは現在もご交流はあります?
「あんまり会ってはないですね。たまにメールするくらいです。亀川君はいろんな人とライブをやってるし、イチロー君もソロ活動をやってます」
──
「今作はじっくり聴きたいと思うような『震災後』の音楽を追求した」という記事を拝見したのですが、その答えがこのアルバムのコンセプト“夏休みの初日みたいな音楽”ということですか。
「最初のイメージにあったのがそうであって、まあ、それだけじゃないんですけど」