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THINK PIECE

WE NEED MORE BLACK

照井利幸×西山徹
"WELD"がつなぐ自由な表現

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photo:Kentaro Matsumoto text:honeyee.com

"WELD"──日本語に訳すと"溶接"を意味する。
照井利幸(Signals)の発案から、西山徹(WTAPS)と2人で設立した
レーベルでありアーティスト集団が発足より2年を迎えた。
"WE NEED MORE BLACK"をテーマにした初となる展覧会では
異なるフィールドで活躍する表現者が"写真""映像""音楽""言葉"を通じてぶつかり合った。
果たしてそこから見えたものとはなにか。創立者である2人の言葉と共に振り返る。

 

──
まず、どのようなきっかけでWELDが立ち上がったのですか。
照井利幸(以下: T )
「大きな組織の中で勤めることができないため、自分たちで何とかしようというところから始まっています。仲間の団結で世界のメジャーシーンと並べられるくらいのことができるのではないかと思い始まりました」
西山徹(以下: N )
「大きく分類するとWELD CHAMBERと先日立ち上げたばかりのWELD MUSICというレーベルがあります。まずCHAMBERから先に始まっているのですが、独立したレーベルと言っても音楽に限らず映像や写真やテキストがある表現を伝えていく手段としてのレーベルを作りたいという話が照井さんからあって、それで一緒にやりましょうと始まりました。WELDに"繋げる"という意味があるように、個々で活動しているアーティストが自分達の力を持ちよって、ひとつの作品を作り、ひとつの出来事を起こそうということを方針にして立ち上がって今までやってきたわけです。先日CHAMBERのメンバーを集めて展覧会を開催しました。MUSICのほうは照井さんの音楽の表現を前面に押し出してやっていこうということで、それも少しお手伝いさせていただいています。だからこれからいろんなミュージシャンが属して活動していくんじゃないかなと思っています」
──
では、設立の経緯としては自然な感じだったのですか。
N
「そうですね。属すというよりも、同じ志の者が立てた方針の元に賛同してくれる人が一緒にやっていくというかたちなので、ギャランティーが支払われたりということは一切ないんです。自分達の力を持ちよって何が出来るか、自分達のポテンシャルを上げていこうということなんです。元々誰とやっていこうというのはないので、今後もそうなっていくと思います。人が増えれば出来ることが増えるし、影響も受けたり与えたりできるから楽しみではありますね」

 

──
WELDの中で表現する上で、表現方法の違なる人からの影響は自分のクリエイションに左右するのですか。
T
「しますね。徹と俺は正反対の人というか、ずっと付きあってきて思うのが徹は自分にはないものを持っているんです。ものの考え方や方法が違くて、自分だったらこういう作品はできないだろうなとつくづく思います」
N
「その逆もあって、僕自身もすごく影響をもらっています。可能性が広がるなと思っています」
──
WELDだからこそ表現できることや表現できないことはあるのですか。
N
「ミュージシャンがいたり写真家がいたりデザイナーがいたりディレクターがいたりなので、全く自分にはできないことが広がります。例えばブランドとかをやっていて、カタログを作るとするじゃないですか。そこではそれぞれやることはあって、同じようなプロセスなんですけども、WELDではもっと個人でいていいんです」
T
「普段の仕事だったらそうはいかないもんね。そこまで個人は出せないですよね」
──
この前のエキシビションは、個人個人の創造性が発揮できる場がすごく自然なかたちで、お互いのアーティストの影響力が反映されていたと思います。
N
「"WE NEED MORE BLACK"というタイトルができて、その趣旨が照井さんから送られてきて、皆がそれを読んで解釈して発表したのがあの個々の作品なんです。趣旨を元に考えて、個々がイメージした"WE NEED MORE BLACK"を表現したかたちになっているんです。普通の仕事だったらできないということはそういった意味もありますよね」