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THINK PIECE

Hennessy artistry:
LARGE PROFESSOR × DJ KRUSH

シーンのレジェンド達による夢の共演が実現。

12 11/2 UP

text: yk

“THE ART OF BLENDING”をテーマに、さまざまなジャンル/スタイル/才能をブレンドし、
シーンの活性化と新たな芸術性の創出を目的としたプラットフォームHennessy artistry。
2012年10月13日(土)にAIRで開催されたイベントでは、ヒップホップシーンのレジェンドLARGE PROFESSORと
DJ KRUSHの共演が実現。両カリスマによる圧巻のプレイに、超満員に溢れかえった会場は熱狂の渦に包まれた。
DJ KRUSHが自身のプレイのラストにMain Sourceの大名曲「Looking At The Front Door」のインストバージョンを
プレイした際には、なんとLARGE PROFESSORが自らラップを披露。他では決して観ることのできない、
夢のコラボレーションとなった。またLARGE PROFESSORのプレイ時には、
現在シーンでメキメキと頭角を表しているヒップホップ集団SIMI LABのMC、OMSB’eatsが飛び入り参加。
一夜を通して、ヒップホップの過去から現在までの歴史を踏襲し、未来への可能性を大いに感じさせるイベントとなった。
なお、この日のLARGE PROFESSORとDJ KRUSHいよるセッションの模様は、
Hennessy artistryの公式ページでチェックすることができるので是非お見逃しなく。
http://www.hennessy-artistry.jp/

 

LARGE PROFESSOR

伝説的グループMain Sourceの中心人物として、
ヒップホップの歴史を作り上げてきたアーティスト達に強力なビートを提供してきた名プロデューサー。
DJ Premier、Pete Rockと共にヒップホップ3大プロデューサーと評される。
http://largepro.com/

DJ KRUSH

選曲、ミキシングに於いて抜群のセンスを持ち、
サウンドプロダクションに於ける才能が海外でも高く評価されている国内屈指のプロデューサー/DJ。
現在までに全世界50カ国、313都市、延べ500万人以上のオーディエンスを魅了。
http://www.sus81.jp/djkrush/

 

──
お二人がDJを始めたきっかけから教えてください。
DJ KRUSH(以下: K )
「僕は”Wild Style”という映画でGrandmaster Flashの姿を観たことがきっかけ」
LARGE PROFESSOR(以下: LP )
「俺は1988年頃に、友達が引っ越すからと言って軒先でターンテーブルを売っていたのを母親に頼んで買ってもらったのがきっかけだな」
──
お二人とも1980年代の後半からキャリアをスタートされていますが、お互いの存在を認識されたのはいつ頃からですか?
LP
「いつのことだったか具体的には覚えていないけど、周りのDJ達が騒いでいたからKRUSHの名前はよく覚えているよ」

K
「僕はMain SourceのアルバムがWild Pitch Recordsからリリースされていた頃から買っていたね。当時僕はDJ Hondaと六本木のドゥルーピードゥルーワーズというクラブで毎週土曜日にDJをやっていて、その時によくかけていたな。あの年代の音楽にはダイレクトで影響を受けているし、リアルタイムでプレイしていたんだ」
──
ヒップホップを共通言語にしながらも、お二人はそれぞれ全く異なるオリジナリティをお持ちですが、自分だけのスタイルを確立するにはどのような努力が必要だと思いますか?
LP
「そこにルールがあるわけではないが、まずは自分の人生やそれを支えてくれている周りの人々、世界、神に感謝することが何より大切だ。その上で自分のやりたいことから目を背けずに続けていれば、誰でも必ず自分のオリジナリティを持つことがきるはずだよ」

 

K
「ヒップホップはアメリカで生まれたものだから、始めはそれに近づくように真似していた時期もあったんだけど、ある時それじゃ世界に通用しないと気付いたんだ。そうすると頼れるのは自分自身だけだから、そこで何をするべきなのか、自分に何ができるのかを真剣に考えた。これで飯を食おうと決意したからには、人と同じことをやっていても受け入れられるはずがない。大切なのはしっかりと自分と向き合って、自分から逃げないこと。DJもそうだし作る曲もそうだけど、自分にしか出せない味を必ずどこかに込めるんだ。それで結果的に出来上がったものがヒップホップになろうが何になろうが、そんなことは関係ないんだよ」
LP
「日本人のすごいところはそこなんだ。アメリカで始まったものであっても、それをより高いレベルにまで引き上げてくれる。DJ KRUSHはその代表だろ?俺のDJスタイルはオーソドックスなクラシックスタイルだけど、彼のDJはまさにネクストレベルだよ」
K
「そういう方向に向かう力をくれたのがヒップホップだから、僕はすごく感謝しているんだ。だからこそ、同じことをやっちゃいけない。それは失礼な行為だと思うから、自分自身のヒップホップを追求していかなくちゃいけないんだよ。自分の人生を変えてくれたものだからね」

──
ヒップホップが誕生してから現在に至るまで、技術的な面が大きく進歩したことで様々なスタイルや機材の選択肢が生まれていますが、それをどのように感じていますか?
K
「僕らは手が真っ黒になるまでレコードを掘っていた世代なんだよ。レコーディングする時だってスタジオで巨大なマルチテープに録音したりね。だから時代が変わった今でも僕はやっぱりアナログの手触りや音質が好きだけど、そこにいつまでもいられないという現実がある。僕は常に前に進んでいきたいからデジタルに移行したけれど、結局は何を使おうが自分が出せればそれでいいんだよ。アナログかデジタルかというところに固執するのではなくて、それを越えたところを目指せばいいんじゃないかと思うんだよね」
LP
「その通りだね。実際、デジタル化が進んだことで助かっていることはたくさんある。でも俺もアナログ世代だから全てをデジタルにするのではなくて、自分に合ったバランスを見つけていきたいと思っているよ」