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THINK PIECE

BAND OF OUTSIDERS Tokyo Store

初の旗艦店に込めた、デザイナー<スコット・スタンバーグ>の想い

13 10/29 UP

photo: Shoichi Kajino interview: Tetsuya Suzuki

10月12日に、東京・千駄ヶ谷にブランド初の旗艦店をオープンした「BAND OF OUTSIDERS」。
来日したデザイナーのScott Sternberg(スコット・スタンバーグ)を訪ね、
ショップオープンへ込めた想いと、設立10年目を迎えるブランドの今後を探る。

 

Scott Sternberg / スコット・スタンバーグ

大学卒業後、映画エージェントで5年間働く。
その後、歴代アメリカ大統領のスーツを手掛けるテーラー職人マーティン・グリーンフィールドに
テーラードの技術を徹底的に学び、2004年ロサンゼルスを拠点にメンズの「バンド オブ アウトサイダーズ」を設立。
07年にウィメンズラインをスタート。
http://bandofoutsiders.com/

 

──
まずはショップオープン、おめでとうございます。BAND OF OUTSIDERSの初の旗艦店という事ですが、ノスタルジックでありながらも現代的であるという、あなたのクリエーションに相応しいお店だと思います。
「ありがとうございます。僕自身もショップデザインには驚きをもっていますし、ショップに来ていただいたお客様にも驚いてもらいたいという気持によって、こういったデザインになりました。今までの僕のクリエーションは、過去をふり返りながら行ってきましたが、このショップオープンを機に新しいことを始められたらと考えています」
──
前回インタビューをさせていただいた4年ほど前のBAND OF OUTSIDERSというブランドは同時代のスタンダードという印象でしたが、ここ数シーズンは「近未来のベーシック」を予感させるようなコレクションになっていると思います。そして、あなた自身も新しい時代の価値観をクリエイトするという意味で、いわば正真正銘のファッションデザイナーになったと思うのです。
「いま指摘していただいたことに関しては、とても光栄に思います。ファッションウィークで発表されるランウェイショーには、素敵だけれど、一般の人達には手が届かない服、日常的ではない服がたくさんあります。僕が作りたいのは手を伸ばせば届く範囲の服です。その微妙な差、そういうところを目指してデザインしています」

──
ウィメンズの服というのもメンズ同様に、あなたが考える来るべき時代のベージックというコンセプトが貫かれているように思います。
「最初は何をしていいのかよく分からなかったのですが(笑)、ようやく形になって来ました。アイデアに知識がようやく追い付いてきたのを感じます」
──
5年前ほど前は、BAND OF OUTSIDERSのコンセプトがなかなか理解されづらかったのではないかと思います。今は、あなたのアイディアをフォローするデザイナーやブランドも出て来ています。このような状況を実感していますか?
「どうなんでしょう。そうだとしたらクールですけどね(笑)。BAND OF OUTSIDERS自体はどんどん成長していっているのですが、良い意味で変らないものも、つくり続けて行きたいですね」

 

──
BAND OF OUTSIDERSのスタート時は、それこそ、アウトサイダー、非常にユニークなポジショニングを意識したブランドだったと思うんです。そして、そのユニークさ故に注目を集めたのだとも思います。けれど、今やそのポジション自体が、誰もが共有できる一つのトレンドになっているのではないでしょうか。
「僕のゾーンに入ってきたら皆、やっつけますよ(笑)。でも、ファッションは、皆がこぞって作るいわゆる売れ線のものもあれば、とてもユニークなものある。もちろん、いいデザインのものもあれば、なんだこれは?と疑いたくなるようなものもあります。そうしたことは、すべてバランスの問題であり、そして、このバランスの維持がとても難しいのだと思います。これまでの10年は少しずつ過去をふり返りながら創るクリエーションでした。けれど、これからの10年は、このショップをベースに今までのものを前を向いて新しいものを創る10年だと考えています」

──
ショップスタッフが着ているジャンプスーツのユニフォームも良い。高級テーラーによって作られたオーセンティックなスーツをガジェット感覚で着るという、近未来のライフスタイルをインスピレーションとして感じます。ジャンプスーツを着たおじさんのテーラーがいたら、もっといいなと思いますね(笑)。
「今までジャンプスーツを着たことはありますか?」
──
ありますよ。ファッションとして(笑)
「僕もあります。とても好きです。もちろん、テーラードスーツとは違うものですが、突き詰めれば同じアイデアから来ているんです。僕は現在のラグジュアリーのアイデアは古く感じます。もっと異なる価値を人は求めていると思います。ラグジュアリーブランドの提案は普遍的なものではなく、時代の経済的な問題に影響されています。僕のブランドは一般的なラグジュアリーという価値観に頼らずに、ブランド独自の価値を創っていると思っています」