honeyee.com|Web Magazine「ハニカム」

Mail News

THINK PIECE

James Blake interview in NYC

音楽の境界線を破壊し超越していく孤高の存在

13 5/31 UP

interview & photo: Erina Uemura transcription: Alan Rice

今年4月に2ndアルバムとなる「Overgrown」を発売したJames Blake。
来月に待望のジャパンツアーを控える彼に初夏のNYCで独占インタビュー。

 

──
新作「Overgrown」では前作よりボーカル主体の作品となっていますが、あなたのよりリアルな声が表現されているのではないでしょうか?
「僕の内なる正直な気持ちを表現したくてボーカルを主体とした作品を制作したんだ。聴いてくれる人が気に入ってくれたらとも思っていたよ」
──
新作ではBrian Inoと「Digital Lion」を、RZAとは「Take a Fall For Me」でコラボレーションしていますが、どのようないきさつで曲を作る事になったのですか?
「Brian Inoとの場合は、僕個人的にではなく僕と制作スタッフ(アルバムの)が彼に連絡を取ったんだ。僕の新作とその制作について話したくて。彼の家に行かせてもらって少し一緒に時間を過ごしたんだ。彼は本当にすばらしい人で僕らはすぐ打ち解けたんだ。彼は既に僕の音楽を知っていてファンだったんだ! 僕らは音楽について語り合ったり、彼が当時制作していた『Lux』というアルバムのことを話してくれたりしたんだ。その時、僕の次に出すアルバムについて相談したんだ。彼からたくさんのたくさんのゴスペルのやSam Cooke(*1950年代にアメリカで活躍した活躍したR&Bシンガー)の曲を色々聴かせてもらったんだ。とても楽しかったよ。RZAには個人的に僕がEmailを送ったんだ。僕とコラボしない?って。彼はすぐOKって言ってくれたんだ。僕はほんとにラッキーだよね」
──
CoachellaフェスティバルでRZAと共演した感想は?
「彼との共演は超非現実的だったよ。ステージに上がる前は本当のこと言うとちょっと緊張していたんだ。彼も少し緊張していたと思う。Wu-Tang Clanで10人もの人に囲まれてステージに立っている時とは違って、彼と僕とバンドメンバーの4人だけしかステージにいないのに慣れていないように思えたんだ。でもそんな僕らの緊張がぶっ飛ぶくらいコーチェラのステージは盛り上がったし僕らもとてもエキサイトしたんだ」
──
では「Every I Ran」でBig Boiをサンプリングに使用したいきさつは?
「実はあまり覚えてないんだけど(苦笑)ある時、彼のアカペラバージョンの曲からすごく気に入ったフレーズを見つけてそれをサンプリングとして使用して編集して曲が出来上がった感じかな」
──
「Retrograde」や「Dlm」からは悲壮、孤独、苦しみなどが感じ取れますが、実際の日常はどうですか?
「そうだね。でもそれは僕の中だけでなく誰の人生にだってあるよね。今の僕には悲壮というより不満があるかな。今、僕は遠距離恋愛をしているんだけど、彼女に会えない悲しみと不満があるんだ。『やっと僕の全てを分かち合える人と出会えたのに一緒にいられない』ってね。悲壮というよりかはフラストレーションに近いかな。彼女はLAに住んでるし。だから彼女と一緒にいられる時間は本当に大切にしているんだ。でも彼女は今ロンドンにいて彼女自身のバンド Warpaint(*アメリカのオルタナティブロックバンド)のアルバムのミキシングをしているんだけど、信じられないくらいすばらしいアルバムなんだ。ロンドンに帰るのが待ち遠しいよ。彼女が待っていてくれるから!」

 

──
前作「James Blake」と新作「Overgrown」ではレーベル側の反応や協力体制は変化があったりしましたか?
「アメリカと日本、それとUKでは少し違うんだ。アメリカと日本は僕の作品に対してとても愛があるというか、僕が作った作品をありのまま受け止めてくれて互いに幸せというか。でもUKのレーベルはセールスをすごく気にするし、セールスをいかに得るために曲をどういう風に作らないといけないかを考えるんだ。“売る”ための曲を作ってほしいというか。それは時々むずかしく思うよ(苦笑)」
──
ところで女性の歌をカヴァーすることは好きですか?Feistの「Limit To Your Love」のように。
「僕はただ単純に彼女のその曲が大好きで、彼女の歌声も好きなんだ。僕は結構高い音域でも歌えてだいたいその音域の女性アーティストの曲を歌ってるんだ」

──
あなたの声はバリトンですか? それともテナー? 最初のアルバムには低いノートの曲もありますよね。
「テナーだと思う。でもさっきも言ったように音域が広いんだ。特に「Measurements」の曲は低いね。3枚目のアルバムではもっと低い音域での曲を使うと思うよ」
──
幼少期の頃から歌の指導を受けていたのですか?
「最初にピアノを習ってそこで歌の基礎も習ったんだ。歌う事は僕にとって楽しいことだったんだ」
──
Kendrick Lamarとのコラボレーションの噂がありますが実際は?
「噂だよ。彼は僕のニューアルバムのリリースパーティーに来たんだ。とても良い人ですぐ仲良くなったよ。いつかプライベートで会ってもっと音楽について話しがしたいな。彼と一緒に曲を作りたいね。今はお互いツアーで忙しくて無理だけど、いつかは実現したいね」
──
彼のどんなところに魅力を感じますか?
「彼は最高のラッパーだと思う。すごく上手なんだ。ラッパーの中のラッパーだと思う。才能あるし彼がやっていること全てに魅力を感じるし、歌詞やその見解なんかにも惹かれるんだ」