honeyee.com|Web Magazine「ハニカム」

Mail News

THINK PIECE

Tame Impala
Coachella 2013 Interview

次世代のサイケデリックムーブメント

13 7/16 UP

interview & photo: Erina Uemura transcription: Nona Washington

2008年にデビューしたオーストラリア・バース出身のサイケデリックロックバンドTame Impala。
去年リリースしたセカンドアルバム「Lonerism」が各国で絶賛され注目される中、
今年のフジロックフェスティバルにも出演が決定するなど、ますます勢いに乗る彼らにインタビューを敢行。

 

Tame Impala

ストレートな60年代後半のサイケデリック・ロック・サウンドを奏でる
オーストラリア・パース出身のサイケデリックロックバンド。
2009年にはアルバム・リリース前にも関わらずサマーソニックに出演。
2010年にはデビューアルバム『インナースピーカー』をリリースし、世界中のメディアから高評価を獲得。
2012年にはセカンド『ローナイズム』を発表し、今年のFUJI ROCK FESTIVALにも出演が決定している。
http://www.tameimpala.com/

 

──
セカンドアルバムが世界各国のメディアで絶賛され、現在ワールドツアー中ですが、あなた自身の現在はどんな状況ですか?
Kevin(以下: K )
「以前とあまり変わらず、とにかく同じことをやり続けている感じだね。10月からThe Flaming Lipsとツアーに出る予定だから、コーチェラが終わったらすぐオーストラリアに戻る予定だよ。まだ決定したのかは確かではないんだけど」
──
バンド結成のいきさつは?
K
「Dom(ギター&キーボード)、Jay(キーボード)、Nick(ベース)はお互いにパースの音楽シーンで出会ったんだ。ドラマーのJulienだけはフランスで10年くらい前に知り合ったんだけどさ」

──
Tame Impalaは60年代のサイケデリックロックの再来と例えられていますが、影響は受けていますか?
K
「影響って無意識の内に滲み出るものだから何とも言えないけど、100%影響されてるってわけではないかな。影響を受けるときは自分では気づいていないことが多いからね。例えばDaft Punkに影響されても、Daft Punkに似た曲や音を作るわけでもないから。でも敢えて言うなら Supertramp(1969年にデビューしたイギリスのロックバンド。初期はプログレッシブから、のちにブリッティッシュポップ路線へと変更し本国のみならずアメリカでも人気を得た)や70年代後半から80年代初期のクラシックポップバンドが好きだよ」
──
90年代のグランジブームについてはどう思いますか?
K
「すごく好きだったよ。その頃自分はまだ子供で、初めて音楽というものを発見した時期だったけど、その頃に色々曲を作り出したんだ。NirvanaやSILVERCHAIRは僕の日常だったよ」
──
セカンドアルバムのタイトル“Lonerism”の意味は?
K
「僕が作った造語なんだ。孤独を好む人の在り方を表すというか。特にこれといって意味はあまりないかな。単語に“ISM”を付けることにおって、思想や宗教と似たニュアンスに変わるんだ。例えばBuddhism とか Cubismとか。。。だからLonerism」

 

──
レコーディングではあなたが全ての楽器を演奏するそうですね。
K
「ファーストアルバム“Innerspeaker”も“Lonerism”もほとんど僕が演奏してるんだ。何曲かはバンドメンバーとのコラボレーションもあるけど。Tame Impalaは僕のソロプロジェクトみたいなものなんだよ(*作詞作曲プロデュースもKevinが担当している。ミックスはMGMTやThe Flaming Lipsのプロデュースを努めるDave Fridmann)」
──
“Innerspeaker”と“Lonerism”ではレコーディングの手法を変えたりしましたか?
K
「“Innerspeaker”ではレコーディングにコンピュータは一切使わない、オールドスクールなスタイルで行ったんだ。8トラックのMTRを使用したりね。でも“Lonerism”ではコンピュータを使ったんだ。コンピュータでやりたいことのほとんどが出来るし、可能性が広がったことによって良い結果を生むことが出来たよ」
──
アルバムにはサイケデリックな曲やポップフックな曲、ロックな曲と様々なスタイルの曲がラインナップしていますが、曲作りにおいてどのようにバランスを取っていますか?
K
「特に計算してバランスを取っていたわけではなくて、ただ好きなものをレコーディングしただけだよ。すごくコズミックで狂ったようなサイケデリックロックも好きだし、それと同じくらいシンプルなポップフックもすごく好きなんだ。それぞれが釣り合って、最終的にはいい仕上がりになったと思うよ」
──
シングル曲“Elephant”について聞かせてください。Todd Rundgrenがリミックスを手がけていますよね。
K
「実は何年も前に作った古い曲なんだけど、Lonerismの中では“これぞロックソング”的な役割を果たしてるんだ。アルバムをさらにダイナミックにするためにベースが効いてる曲を取り込みたくて、アルバム用に編曲したんだ」
──
楽器から奏でられる音をイメージに変える機材、オシロスコープについて教えてもらえますか?
K
「オシロスコープは元々、テレビの修理に使われる器具だったと思う。(電子パネル)の画面上に緑色のドットのライトで波打つ模様を作ることが出来て、左側のスピーカーは上下の動きをコントロールして右側のスピーカーは左右の動きをコントロールしているんだ。たくさん練習して使いこなせれば、その緑色のライトで絵を描いたり、すごい模様を作ったり出来るんだよ。ソフトな音楽を奏でれば小さいドットが表示されるし、激しい音楽を奏でればすごく激しい模様になるんだ。おもしろいよね」