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RAINBOW DISCO CLUB 2014

"北欧のディスコ大使"ことPRINS THOMAS、来日直前インタビュー。

14 4/17 UP

text: yk

東京湾を臨む絶好のロケーションである晴海客船ターミナルを会場に、これまでDJ HARVEYをはじめとする
トップアーティスト達を世界中から招聘、そのクオリティと音楽性で、近年乱立する音楽フェスの中でも
抜きん出た地位を確立したRAINBOW DISCO CLUB。次回2014年4月29日(火)に開催では、
デトロイト・レジェンドMOODYMANNと“北欧のディスコ大使”PRINS THOMASらがヘッドライナーとして登場。
来日とともに絶好のタイミングでニューアルバム「Ⅲ」をリリースするPRINS THOMASにインタビューを敢行した。

 

──
あなたはディスコ・ダブ・シーンのパイオニアとして世界中で評価されていますが、その音楽的なキャリアはどのようにスタートしたのですか?
「84~85年頃にターンテーブルやテープデッキを使って遊び始めたのが始まりかな。ヒップホップカルチャーのドキュメンタリー映像、本や雑誌、それから義理の父親のレコードコレクション、『BEAT STREET』という映画なんかに強い影響を受けて、DJカルチャーに興味を持ったんだ。当時僕はまだ10歳だったけど、モンゴリアン・ジェットセットのDJストレンジフルートが作っていたテープが僕にとっての教科書だったね。その後、13歳くらいまでの間にベッドルームでのDJや、たまに入るローカル・クラブでのDJ以外で、クラリネットやチェロといった楽器を演奏するようになって、友達とバンドを始めた。それが自分で音楽を作りはじめたきっかけだね。ドラムやギターにも手をつけて、やっていたバンドの一つがノルウェーの全国コンテストで賞をもらったり、Fostex 4-trackという機材を使ってレコーディングを始めたり、どんどん音楽にのめり込んでいったんだ。音楽が初めて仕事になったのは93~94年頃、ノルウェーで初めてのハウスに特化したクラブのレジデントDJになった時。そこで週に1~2回DJをするという日々を一年くらい送った後、ノルウェー国内の他のクラブでもたくさんオファーをもらうようになって、コミュニティーが広がっていった。たくさんのクリエイティヴな人達と出会ったことで、改めて制作作業に没頭するようになって、

初めてのレーベル” Tamburin”をスタートさせたんだ。DJハービーやフランソワ・K、イジャット・ボーイズといった、僕にとってのヒーロー達との出会い、そして彼らからの賞賛は、自分が正しい道を進んでいるということへの自信になったよ。それからもどんどん曲を作って、2つ目のレーベル”Full Pupp”のスタート、リンドストロームとのコラボレーションを経て、いつの間にか世界中を飛び回るDJ・プロデューサーになったんだ」
──
DJ以外の時間ではどのようなライフスタイルを送っているのですか?
「僕はDJやプロデューサーである前に、父親であり、夫なんだ。家族と過ごす時間を何より大切にしていて、それ以外ではスタジオでの作業、それから週末はDJ。それ以外には何もないね。すごくシンプルな生活だよ」
──
制作をする上で一番のインスピレーションになっているものは何ですか?
「少し変な回答に聞こえるかもしれないけど、僕にとっては音楽を作るという作業と、その行程自体がインスピレーションの源なんだ。深く考え過ぎずなるべく自然に、気の向くままに作業を続けているよ。それが何より楽しいんだ」

 

──
あなたはDJとしてもプロデューサーとしても非常に高い評価を得ていますが、ご自分としてはどちらに比重を置いているのでしょうか?
「どちらか一つでも欠けてしまったら、もう片方も続けることはできなくなってしまうだろうね。DJを始めてから30年が経った今となっては、月に2~3回でもDJをすれば満足なんだけど、スタジオ作業にはもっと中毒性があって、スタジオに入れない日が何日も続くと辛くなる。DJは普通3~8時間で終わるその日限りのものだけど、制作は一ヶ月はかかる継続的なもので、でもそのどちらもが僕には欠かすことができないものなんだ」
──
日本では近年、アンダーグラウンドなディスコ・シーンが盛り上がりを見せていて、あなたの新作を楽しみにしている人が大勢いるのですが、ニューアルバム「Ⅲ」について教えてください。
「今作は大体4ヶ月くらいかけて制作したんだけど、前作に収録しなかった曲も入れているんだ。僕としては、これまでに発表した2枚のアルバムのちょうど中間くらいの音楽性で、その2枚のアイディアをミックスさせたものだと思うんだけど、どう思うかは聴く人に任せるよ。特にこれといったコンセプトや表現したいことはないから、ごく自然な流れで生まれた曲達だよ」
──
これまでに何度も来日されていますが、日本のダンスミュージックシーンや、アーティストについてはどんな印象がありますか?

「ここ何年かでたくさん呼んでもらって、日本のクラブ、DJ、お客さん含めて、本当に素晴らしい印象しかないよ。初めて日本に来た時、サウンドシステムがあまりにも良くてビックリしたことを覚えてる。最近はよくなったけど、それまで僕がプレイしていたヨーロッパのクラブはなんてひどい環境だったんだと感じたよ。日本のお客さんがDJの方を見ながら踊っていたり、僕がかけているレコードの写真を撮ったりすることに慣れるまで、少し時間がかかったけどね(笑)。でもそれも日本のお客さんが音楽に対して真摯だからこそなんだと気付いたよ。それにボアダムスのEYEや瀧見憲司、DJ AGEISHI、Chee Shimizu、Dubby、Chida、DJ KENT、KZA、COS/MESなど、数え切れないほど素晴らしい日本人アーティストがいるよね。ここで挙げ忘れている人がいたらごめん。ちょっとウィスキーを飲み過ぎちゃってさ(笑)」
──
4月29日(火)には晴海客船ターミナルで行われるRainbow Disoc Clubでプレイされる予定ですが、特に楽しみにしていることはありますか?
「RDCについての噂は色んなところから聞いているし、そのどれもが素晴らしいものばかりだよ。冷たいビールを飲んで、潮風に当たりながら音楽が聴けるなんて、楽しくないわけがないじゃない?MOODYMANNはもちろんだけど、まだ発表されていないシークレット・ゲストが本当に楽しみ。絶対に楽しいし、最高の思い出になるはずだよ!」

 

RAINBOW DISCO CLUB 2014

日時:2014年4月29日(火)
会場:晴海客船ターミナル臨港広場特設ステージ
http://www.rainbowdiscoclub.com/tokyo/

出演:
MOODYMANN
PRINS THOMAS
HESSLE AUDIO
MAGIC MOUNTAIN HIGH
SAN SODA
SISI
KUNIYUKI
HIROAKI OBA
KEZ YM
and Special Secret Guest

 

PRINS THOMAS「Ⅲ」

OCTAVE-LAB / FULL PUPP
1,990円[税抜]
2014年4月23日(水)発売