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THINK PIECE

black crows

フランスのフリースキーレーベルによる、アーバンなスキーウェア

15 12/9 UP

photo:Shoichi Kajino
interview:Tetsuya Suzuki
text:Akihiro Hayashi

フランスのインディペンデント・フリースキーレーベル black crows(ブラック クロウズ)が、
ビッグマウンテンフリースキーのためにデザインした初のアパレルライン「the corpus(ザ・コープス)」の
ポップストアが、the POOL aoyamaで展開されている。自身もプロのフリースキーヤーとして活躍した後、
black crowsを創設したブランドディレクター、Camille Jaccouxに聞く、ブランド初のアパレルライン、
そして日本での展開の狙い。

 

──
今回、東京のthe POOL aoyamaで、black crows初のアパレルライン「the corpus」のポップアップストアを展開することになった経緯を教えてください。
「まず、私たちのプロダクトは、アーバンなスタイルをアイデンティティとしています。一方、the POOL aoyamaは、もともとプールだったという場所のバックグラウンドとともに、“スポーティ”というコンセプトを感じます。それは、(スキーブランドである)私たちが考える“アーバン”と共鳴するアイデンティティを持っているということだと思い、今回この場所でポップアップを実施しました。the POOL aoyamaのようなコンセプチュアルな場所で、我々のスキーウェアのコレクションをポップアップで展開することは、素晴らしいコンビネーションになるチャンスだと思います」
──
スキーブランドとしてだけでなく、背景にあるブランドのストーリーも伺えますか?
「black crows『the corpus』のコレクションを制作するにあたり、私たち自身が好きだったり、欲しかったりする様々なアイデアを反映しています。私たち自身もよくスキーへ行き、同時に仕事で世界の各都市を旅しています。そうしたすべてのインスピレーションが、このコレクションに反映されています。

なので『the corpus』のコレクションは、スキーウェアとしてのテクニカルなガイドラインに沿った面を持ちながら、シティウェアとしてのカジュアルな機能もあります。つまり、完璧なスキーウェアでありながら、雪山だけでなく、街やミュージックフェスでも着こなすことができるといった、他のスキーウェアブランドにはない、アーバンなセンスを兼ね揃えているといえます。だからこそ、アウトドアやマウンテニアリングへの耐久性とシティライフの両方を備えるblack crowsの魅力は、日本でも正しく伝えることができると考えています」

 

──
black crowsが提案するスキースタイルと従来のスキースタイルに違いはありますか?
「フリーライドから、ビッグスキー、ツーリングスキーなど、様々なスタイルに対応しますが、black crowsがスタイルとして提案したいのは、やはり街から雪山へのアクセスをイージーにしてくれるスタイルです。10年ほど前に比べるとスキーのギアの性能も向上し、よりアクセシブルな、“ニュースキー”と言うべきものになりつつあります。今までスキーをしたことがない人もすぐ上達できるようになり、中級者や上級者たちは、より一層スキーを楽しめるようになりました」
──
スキーウェアとしてのデザインや、テクニカルなこだわりはどのような点が特徴でしょうか?
「メインデザインとしては、ヘリテージなマウンテニアリングジャケットから始まりました。60、70年代のパーカのシルエットのようなフォルムです。また、black crowsのロゴは、シェブロン紋章と、雪山で集団で飛ぶ鳥たちのモチーフからなっています。

通常、グラフィックが全面に使われている派手なスキーウェアが多いのですが、スキーウェアのロゴが全身にはいっているようなジャケットだと、街では誰も着られないでしょう。なので、black crowsでは表地にはロゴをワンポイントで使用し、ベージュやネイビーといったシティウェアとしても活用できるカラートーンを提案しています。そして、スキートラウザーに関しては、真っ白な雪山でも目立つようカラフルな蛍光色(ピンク、グリーン、オレンジ)の3色を作りました。そうすることで、スキーを終えた後にスキーウェア用のトラウザーだけを着替えて、ジャケットはそのまま羽織って街へも行けるのです。そんな風に表地は極力ミニマムなデザインに抑える一方で、裏地にはブランドのストーリーが伝わるように様々なデザインのディテールを施しており、ウェアだけでなく、ギアも含めたすべてのアイテムにユーモアが感じられるような仕掛けもあります。例えばマウンテンパーカをベースとしたアウタージャケットは、私たちのブランドのコンセプトである、シャモニー山脈のマウンテニアリングマップがハンカチーフとして装着されていたり、機能性のあるテクニカルなプロダクトがデザイン要素としても装着されているのです」