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THINK PIECE

DAL 2015AW Collection

高木完によるリメイクリモデルされたファッションアイテムたち。

15 9/9 UP

photo: Satomi Yamauchi
interview: Tetsuya Suzuki
text: Yuri Nishikubo

これまでも単発のプロジェクトとしてアイテムを発表してきた高木完によるブランド「DAL(ダル)」が、
2015年SSよりコレクションラインをスタート。パンク・ロック、ニュー・ウェーヴ、ヒップホップ・・・・・・スタイルの変遷
をシーンの最先端で見つめ、多角的な活動を繰り広げてきた高木の「リメイク/リモデル人生」が集約に向かう
通過点としてファッションを表現方法に選んだ理由、そしてDALを通じて表現したいこととは。

 

──
ファッションブランド「DAL」を始めるに至った経緯を教えて下さい。
もともとブランドとして「アパレル」をやろうと決めていたわけではなくて、PORTERさんとPCDJ用のバッグ、OLIVER PEOPLESさんとサングラスをつくったあとにCAPをつくりたいという誘いがあったのでサンプルをつくってもらったところ、刺繍がすごく綺麗にのっていて気に入って。その時に洋服も一緒にやりましょうという話になりました。
──
DALの語源は?

DALは「DA LAB」の通称ですが、音楽用語から考えたいというのは最初から思っていました。「ダルセーニョ」というのは「ここからもう一度始める」という意味で、イタリア語の”dal”は英語の”from”の意味なんだよなと考えていた時に、好きだったゲイリー・パンターの“Dal Tokyo”という漫画はもしかして“from Tokyo”の意だったのか?とリンクして。あとは「ダルいな~」っていうニュアンスを込められるのもおもしろいかなと(笑)
──
コレクションという形をとるにあたってあらためて自分の世界観を俯瞰して思ったことはありますか?
自分が洋服を買い出した頃のことを思い出しました。特に1977年ごろにパンクの服を買いだして、セディショナリーズの服にプラスしてボンテージパンツとかセーターとか本家と似ているけどちょっと違う安いものの中からいいものを探して買っていました。パンクのちょっと後になると原色やアニマルプリントのアイテムに目がいくようになって、まだその頃はそういったパンクのアイテムはそれを好きな人しか着てなかったけど、ニュー・ウェーヴになってからはあらゆる人に蔓延していく感じがおもしろかった。今回洋服を始めるにあたって、そんな70年代終わりというか、80年代始めのニュー・ウェーヴの頃の気分が大きかったかな。DJや音楽をつくるときにも、そのくらいの時代のものから入ることも多いし、買うときにも昔のバンドの新譜にはそこまで興味が無いけれど、昔の音源を良い音で聴くとすごくいいなあと感じて。昔の服って着れないけれど、昔の服を今の感覚でつくり直すものはやっぱり着れるっていうのも楽しい。年齢的にも、40年近くたった今でも自分がおもしろいと思うものを伝えていきたいなと思っています。

 

──
AWのアイテムでまずつくることを決めたものはなんですか。
最初に決めたのは何かパンクのアイコンをひとつと革ジャンだね。パンクのアイテムとして選んだのがパラシュートシャツのリメイクだったんだけど、サンプルを作っている最中にPEEL&LIFTもパラシュートをやっていて!革ジャンはワンスターのライダースをやろうと思っていたら、ヒロシがやっていたのでやめたんです(笑)パラシュートはとりかかっていたので(笑)DALのパラシュートはリプロです。それこそBOYがセディショナリーズを作るような。

ただこの色は持っていなかったから着たくて。レザージャケットはワンスターのリメイクはやめて、グラムとパンクと初期のオールドスクール・ヒップホップの3つが混ざったようなのがほしいなと思ってつくりました。この感覚は80年代半ばの感じだけど。
──
先シーズンからOPENING CEREMONYでも取り扱いがスタートしたとのことですが、今の時代とのリンクで感じることはありますか?
「PEEL&LIFTもパラシュートをつくっていたということを知った時には、すごくマイノリティかもしれないけどいわゆるそれがトレンドなのかなと思いました。あとこのライダースは韓国のアイドルの子たちが着てくれているんですよね。早く欲しいっていう声が伝わってきたりしていて。こういう思わぬ広がりがとてもおもしろいです。パンクやヒップホップっぽさって結構取り入れられていると思うのですが、若い子の感覚だったり、実際にはあまり関わっていなかった人たちが取り入れているだけかな?と感じるものもあって。リアルタイムで通ってきた自分が今DALを一緒にやっている若い子と一緒に作ろうとすると、「みんながチョイスしたくなる枠の中でこれをやるんだったらおもしろいかもな」と感じるアイデアがたくさんでてきます。そういった中から、意見を聞いて違う発想がうまれることもあります。彼らのフィルターがあるからやれることも多いし、そういうものをもっと増やしていきたいです。

 

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いまは、自分のクローゼットの中にあるクラシクコレクションを出してきてもあまり抵抗がなく着れるのではないかなと思うのですが。
「あ!それはあるね。5~6年前には考えてもいなかったし、抵抗感もあったのかもしれないのだけど、今ならっていう感じがするよね。それはなんでなんだろう......。何周か回ったからということじゃないよね?」
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1周するなか2周するなかでクラシックになっていくものが増えてくるということでしょうか?3周したらパラシュートジャケットも定番になったというか。
「そうだね、ボンテージパンツはずっと定番で、さらにパラシュートも定番になった!」
──
そして、SK8THINGさんによるグラフィックを配したCAPが発表されるということですが。
「僕が最初にシンちゃんに、グラムとパンクとヒップホップを合わせてってお願いしてライダースを作ったところ、自分の中ではこれが70年代のNEW YORK DOLLSの真似をした、

日本のリップスティックプロダクションの感覚みたいだなあと思って。ライダースに配したグラフィックを使ってCAPもつくりました。シンちゃんとは普段からよくしゃべっているし昔から一緒で、APE SOUNDSをやっているときは隣だったから毎日のように会って話していて。シンちゃんがBBCに関わり始めた時も知っているし、僕があげた東スポの記事の写真をそのままCorneliusのTシャツにしていたりね(笑)そういう仲でツーカーになっているところはあるからネタを送ったりして実現しました」
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DALは完さんの今後の活動の1つの柱になるということでしょうか?

 

過去を振り返るというよりは今の視点で伝えて残していきたいなと思っていて。70年代半ばから80年代半ばの人のアーカイブって割りと無いような気がして、インターネットでも逆になくて。単に文章だけじゃなくても多角的に残して、今の時代にはどう映るのかっていうのもおもしろいなと思っています。でも別にそれはリバイバルというよりはリプロでもいいしリブートでもいいけど、もっとも的確なのはリメイクリモデル・・・・・・そうね、自分が一番最初に好きになったロックバンドはビートルズとかストーンズを除くとロキシー・ミュージックで、彼らのファーストアルバムの1曲目は「Re-Make/Re-Model」だから関連しているところが未だにあるのかもな。あのころも40年代50年代のハリウッドのものを愛でる感じでやっていましたよね?当時すでにそういうものが好きだったっていうことは、もう永遠に何かを懐かしみながら新しい感覚でつくり直すっていうことを好きで続けていくっていうことなのかもしれないですね。リメイクリモデル人生だ(笑)。結局、いろいろなものを集約させていくと、これから新しいこともできそうだし一緒にやりたいという人も出てきそうだし、すでに出てきているし。最近、DALは音が聞こえてくるような服だから、音も一緒にやりたいなと思い始めています。つくろうとイメージしているものはあって、でも曲だけじゃなくヴィジュアライズできるようなアーティストも欲しい」
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音楽とファッションのような、カルチャーのミックスということをやはり意識されますか。

「やっぱりそこはね、70年代にマルコムとヴィヴィアンがどう思っていたかはわからないけど、服を着て一緒に動くアーティストがいたらおもしろいなあとは思います。韓国のアイドルの子がDALのブルーの革ジャンを着てMVに出ていて、こういうのがあるといいなと思いながら見ていました。じゃあ79年くらいから好きだったような洋服と音を混ぜたりすることをもう一回やってもいいのかなと。音楽だけというのはなんか違う気もするしね」

 

左:pala shirts 37,000円[税抜]
右:W riders 150,000円[税抜]

 

SWT 15,000円[税抜]

CAP 6,800円[税抜]

 

(問) CNL Showroom (Team self creative)
tel: 03-5459-2741
http://cnlshowroom.com/