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THINK PIECE

Fragment Design×written by

カラフルなスカーフに映し出された
時代を象徴するアイコンたち

15 2/17 UP

Photo: Shoichi Kajino
Interview: Tetsuya Suzuki
Text: Akiko Taniguchi

藤原ヒロシとwrittenafterwordsの山縣良和のコラボレーションによる大判スカーフがwritten byから登場。
“売買の原点に立ち返る”をコンセプトとしたwritten byのフリーマーケットにインスパイアされたブルーシートシリーズの
ひとつとして、藤原ヒロシのプライベートなブックコレクションを鮮やかな色彩で表現。
異色ともいえるこのコラボレーションは、アイロニックに時代を切り取る異才同士の共鳴によって生まれた。

 

──
まず、山縣さんが発表されたブルーシートシリーズの発端やテーマを教えてください。
山縣良和(以下Y)
「もともとは3年前の震災をきっかけに、経済のシステムがニュースになった時、僕は、あまりそういうことを知らないと気付いて自分なりに勉強したいと思ったんです。簡単なお金の歴史や経済のことを本などで学ぶうちに、物々交換などマーケットの様々な形をテーマにコレクションを作れたらいいなという想いが生まれたなかで、フリーマーケットというシンプルな形式でのモノの売買に面白さを感じて。なかでも、ブルーシートというのは、そのチープさが象徴する売買の原型みたいなところをデザインにしたいと思いスタートしました」
──
ヒロシさんとのコラボレーションの経緯は?
Y
「written byを立ち上げたのが去年なのですが、その時に、僕のなかで何が大事だったかというとリアリティという部分。僕なりのリアリティとの向き合い方を考えたときに、単純にファッションを好きになった時の感覚を大事にしたくて。でも僕のモノ作りってファンタジーに行き過ぎるので、非現実だと言われてきたなかで藤原さんとお会いする機会があり、ぜひ、何かご一緒できたら嬉しいなというのが僕のなかでもあったんです」

藤原ヒロシ(以下F)
「僕は単純に、見せてもらった(ブルーシートシリーズ第一弾の)スカーフがすごくいいなと思って。ブルーシートのブルーが鮮やかで、色々な要素が詰まっているにも関わらず、巻いてしまうとスカーフの模様に見える感じが、すごくいいなって。それで、何か一緒にやりたいってリクエストしたんだと思う」
──
ヒロシさんは山縣さんのクリエイションに対して、どのような印象をお持ちですか?

 

F
「山縣くんに限ったことじゃないんだけど、僕は、その人がその時代にやりたいことをやっている、ということにすごく魅力を感じる。ある程度トレンドを無視しながら、自分のやりたいことをやっていて、しかもそれが世の中のタイミングと合ったクリエイションとして表現されているものに惹かれるんです。時代に流されるようにすることって多くて、トレンドだからとか流行りそうだからとか、そんな理由に乗っかるのは簡単だけれど、そうではなく、その人じゃないとできないことをその時代の必然をもってやっている人は魅力的。山縣くんは、まさにそういう人」
Y
「あと、時代だけでなく“その場”でないと、できないっていうものもありませんか? 例えば“東京”という場所だからできるものとか」
F
「そうかもしれないね。それこそ、“今”、僕と山縣くんが一緒に何かをするというのがいいと思った。しかも、山縣くんのインスピレーションによって作られたものに僕が入っていくのが面白い」

──
ヒロシさんが、本を選んだ理由はなんですか?
F
「あまりないんですよ。最初に見せてもらった元のスカーフから、僕だったらどうしようかな、と思ったときに本でやろうと。自分の本棚から、とりあえずバーッと持ち出してブルーシートに並べて、上から一発撮り」
──
山縣さんからは何かリクエストはありましたか?
F
「全くなかった(笑)」
Y
「ブルーシートくらいですかね(笑)。あとは、フリーマーケット感が出ればいいかなって。なので、最初にビジュアルが届いときはビックリしました。かっこいいー!って(笑)。カラーのバランスもすごく綺麗で」
F
「まあ、僕はあんまり考えてないですけどね(笑)。でも、やっぱり本って選ぶと、人となりが全部出るものだから、それが良かったなって」
Y
「選ばれている本のジャンルも経済だったり、アートだったり、いろいろですよね。そういう本を選ぶ感覚もそうなんですが、例えばそのときどきの時代を捉えるインスピレーションは、どういうイメージでおりてくるんですか?」
F
「おりてこない(笑)。ただ、その時起こっていることは、ファッションに限らず社会情勢とか全部含めて興味があるから、常に気は配っているかな(笑)」

 

──
色々なことに影響を受けながらも、例えば、経済の問題に興味を持ったとして、それを経済の問題として答えを出すという表現ではないんですよね
F
「そう。別に問題提起をしたいわけでもないし、マルクスをモチーフに選んだからといって、『これからはマルクス主義だ!』と言いたいわけでもなく、ただ、アイコンとして捉えているわけで」
Y
「この前までパリに行っていたんですけど、今パリで面白いお店が『The Broken Arm』と聞いて行ってみたら、店員の方がPOOLの帽子を被っていて、藤原さんの本も置いてあって。その光景を見たときに、世界的に見ても藤原さんの多方面での表現は影響力が大きいんだなと改めて思って。話は変わるんですが、(テロ事件の影響で)今、パリの街中に“主張”が溢れているんです。そんな主張がぶつかり合っているパリの空気を感じた時に、これって多分、ずっと終わらないだろうなと思いました。だけど、日本人の場合、国民性として良くも悪くもですが明確な主張が少ない分、色々なことができると思うんです。空気を読む文化とか、間を取る感覚とか、それが独特な日本のカルチャーを作っているのかなって」
──
二択を突きつけられた時に、それ以外の選択肢を探そうとするということですか?

Y
「そうですね。だからこのスカーフでも、色々な要素があるからこそ(主張を)掻き消している感じがするんです。そういう表現の在り方が西洋文化では、やっぱり主張になってしまうからできない。だから、パンクカルチャーにSTUSSYと古着を合体させて日本的にするような(ヒロシさんの)感覚って、海外を見てくると改めてなかなかできることではないなって」
──
例えば、今回選んだ本などは、異なるジャンルや要素を合わせること自体が目的ですか?それとも、自然に?