honeyee.com|Web Magazine「ハニカム」

Mail News

THINK PIECE

JULIEN DAVID JINGUMAE SHOP

神宮前のフラッグシップ ショップがリニューアルオープン。

15 12/2 UP

photo: Aya Yamamoto
text&interview: Aika Kawada

2013年のオープンから早2年。Julien David(ジュリアン・デイヴィッド)の神宮前ショップが内装を一新して
リニューアルオープンした。内装デザインを手がけたのは、フランス パリを拠点に活動する
建築家と職人によるデザイン集団Ciguë(シギュー)。大量消費に反旗をひるがえし、
マテリアルや手仕事に徹底してこだわる彼らと独自の視点でモードとストリートの融合を試みるJulien David。
異彩を放つ2人が化学反応を起こした“New Shop”はいかに。JulienとCiguëのメンバーである
Camille Bénard(カミーユ・ベナール)にインタビューを敢行した。

 

──
一緒に仕事をすることになった経緯について教えてください。
Julien David(以下、J)
「Aesopのお店を見て彼らの世界観に共感し、ショップの内装を依頼したいと思いました。それでCiguëのウェブサイトのコンタクト欄からE-mailを送りオファーしました」
Camille Bénard(以下、C)
「きっかけは誰かの紹介ではなかったけど、メールの文面から自然にJulien Davidというブランドのことを理解できたことを覚えています」

──
いま、ショップをリニューアルしようと思ったきっかけはございますか。
J
「実は、タイミングが理由でリニューアルしようと思っていたわけではないんです。以前は、1階の半分がお店でもう半分がスタジオとオフィスという間取りでしたが、いつか上の物件が空いたら2階をオフィスにして、1階をすべてお店にできたらいいなとずっと思っていて。その機会がきたので、リニューアルすることを決めました」
──
内装の具体的なリクエストはあったのでしょうか。

 

J
「絶対にこれを入れて欲しいということより、室内の間取りについてとどのようなアイテムを置きたいかだけを伝えました。どちらかというとCiguëがここにどのようなコンセプトを持ってくるかに興味を示したんです」
C
「具体的な指示はありませんでしたが、彼の過去のクリエイションを見て、お互い共感しあえることが直感でわかったんです。面白いショップができるということがわかっていたので、すぐ興味を持ちアイディアをふくらませました」
──
お店に入った瞬間、シルバーの巨大な什器が目に飛び込んできました。あえて洋服を隠して探すことを楽しむための仕掛けだと思ったのですが、これもCiguëからのアイディアでしょうか。
C
「そこに気づいてもらえたのはとても嬉しいです。わざと店内にアルミ板で造った什器の背を向けて立てることで、お客さんがショップ内で洋服がどこにあるか探さないといけないレイアウトにしたんです。ジュリアンがファッションを始めとする様々な分野で展開している“シノグラフィー的なアイディア”を理解して、このデザインに至りました」

 

J
「自分で何かを見つけて感じ取る、ミステリアスな楽しみを店内で体験してもらえるかと思います」
──
ファッションデザイナーとして店頭でプロダクトを隠すことに躊躇はありませんでしたか。
J
「もちろん、デザイナーとして洋服は売らなければなりません(笑)。しかし、コレクションを入り口に向けて“こんなに
たくさんの商品があるんですよ”とアピールするより、商品を丁寧にディスプレイして表現することで、個々のアイテムが持つ素晴らしさをより語ることができると考えています。ブランドとして大切にしたいことをCiguëが理解してくれて、このデザインに辿り着いたということにすごく自信を持っていますし、このコンセプトは美術館で作品を鑑賞することに通じるのではないでしょうか」