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THINK PIECE

Maika Leboutet「100(momo)」

日仏ハーフの新世代宅録女子によるファーストアルバム。

15 2/4 UP

photo: Naoki Ishizaka
hair&make-up: Mihoko Fujiwara
text: yk

小山田圭吾、鈴木慶一、菊地成孔、カメラ=万年筆他など錚々たるアーティストたちとの客演を経てデビューアルバム
「100(momo)」をリリースした、日仏ハーフの女性シンガーソングライターMaika Leboutet。クラウドファウンディング
にて制作費を募った本作では坂本龍一も出資者の一人として名前を連ね、そのノスタルジックかつ色彩豊かなサウンドと
歌声で大きな注目を集めている。クラシックピアノをバックグラウンドにしながら、現在ではシンセサイザーをメインに
制作を続ける新世代宅録女子の全貌に迫る。

 

──
Maikaさんはこれまで、どのように音楽と関わってこられたのですか?
「近所のお友達がみんなピアノ教室に通っていたので、私も5歳からピアノを習っていていました。それからずっとクラシックピアノを勉強していたのですが、小学校4年生の時にでたコンクールで優勝することができてから、さらに音楽が楽しくなって、フランスに引っ越した後もコンセルヴァトワールを目指すくらい真剣にピアノを続けていたんです。でも中学校2年生のときに母親がThe Beatlesのベスト盤『1』を買ったのを聴いて、それまでクラシックばかり聴いていた自分にとって、ビートルズのポップスというものがすごく新鮮で何度も繰り返し聴いていました」
──
当時、同級生の中で流行っているようなポップスなどは聴いていなかったのですか?
「小学校5年生までは日本にいて、当時はPUFFYとかJUNDY AND MARYとかも好きでした。フランスに行ってからはフランス語がそれほど流暢では無かった頃なので、パリで同世代の子達の流行にシンクロしていませんでした。そもそもあまり流行で聴くものを選ぶタイプではないので、新しいものだろうが古いものだろうが、自分が良いと思ったものを聴くという感じでしたね。それこそAvril LavigneとSimon & Garfunkelを並行して聴いていたり(笑)」
「意識しているわけではないのですが、結果としてそう感じられるというのは不思議ですよね。クラシックピアノ、そしてThe Beatlesやこれまで聴いてきた音楽が遺伝子的に組み込まれている感覚です」
──
既存の曲を演奏するクラシックピアノから、どのようにして自ら作曲してオリジナルの楽曲を制作する方向に意識が向いていったのですか?
「中学校2年生の時にクラスに歌の上手な子がいて、その子に歌ってもらおうと思って曲を作り始めたのがきっかけです。それまでずっと楽譜上の音符で考えていたので、当時はまだコードというものも分かっていない頃でしたが、クラシックピアノと違ってなんの制約もないということが面白かったんだと思います。それからThe Beatlesの曲に合わせて勝手に楽器を足すアレンジをしたり、コピーをしたりということをしていましたね。周りに楽器ができる子がいなかったので、両親に買ってもらったYAMAHAのシンセサイザーで全部自分で演奏と録音をして遊んでいました。そうするうちに、そっちばかりが楽しくなってしまって、だんだんクラシックピアノから距離ができていったんです」
──
現在のMaikaさんの音楽スタイルを語る上で、シンセサイザーの存在は欠かせないものの一つでもありますが、そのYAMAHAのシンセサイザーがきっかけになっているのでしょうか?