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THINK PIECE

Todd Terje

ノルウェーが生んだディスコ・マジシャン、来日直前インタビュー!

15 4/23 UP

photo: Redbull Music Academy
text: yk

昨年リリースされたファーストアルバム「It’s Album Time」で、それまでのEP作品で片鱗を見せてきた
メロディアスでカラフルなトラックメイクの才能をいかんなく発揮し、ジャンルを越えて多くのファンを獲得した
ノルウェー出身のDJ/プロデューサーTodd Terje。現在、世界中のビッグフェスティバルから
ライブアクトとしてのオファーが絶えない彼がGWに伊豆・稲取にて開催されるRainbow Disco Club 2015への
出演が決定したことを機に、来日直前インタビューを敢行。

 

──
シーンに登場してから10年近くが経ちますが、そもそもはどのようにして音楽と関わりはじめたのでしょうか?
「実際に自分で音楽を作るようになったのは13歳か14歳の頃かな。家族用のPCに”Tracker”という8ビットのサンプルをシークエンスできるソフトウェアが入っていて、それを使えばダンスミュージックを作ることができるということが分かってから、長い間そのシンプルなソフトで音楽を作っていたよ。その後にもっと本格的なソフトや楽器を買って現在に至るわけだけど、制約がある中で四苦八苦しながら制作していた当時が今でも恋しくなるよ」
──
現在もノルウェーを生活の拠点にされているそうですが、ノルウェーの音楽シーンにはどのような印象がありますか?
「普段は母国のノルウェーに住んでいるんだけど、実は今年の3月から家族で京都にいるんだ。3ヶ月間だけなんだけど、僕の人生の中で一番長く日本に滞在する期間になるね。ノルウェーの音楽シーン・・・正直に言うとノルウェーに音楽シーンというものが存在するのかどうかも分からないな。もちろん僕のように音楽を作っているクリエーターは何人かいるんだけどね。ノルウェーは他の国と比べても”シーン”というものが少ない気がするけど、特に今は個人がインターネットを通して世界中と繋がっているわけだから、ノルウェーという地域に限定して語ることはできないんじゃないかと思うよ」
──
これまでに何度か来日公演を行っていますが、特に印象的なギグはありますか?

「ここ数年は毎年日本でギグを行っていて、もともとはDJとしてだったけど、最近はライブアクトとしてパフォーマンスをしているんだ。2007年に初めての来日した時のギグで、Loleatta Hollowayの” Catch Me On The Rebound (Walter Gibbons remix)”をプレイできた時のことが一番印象に残っているんだ。これは僕が人生の中で一番好きな曲なんだけど、DJではなかなかかける機会がなかった曲だったからね。さっき3ヶ月も日本にいるって言ったから分かると思うんだけど、僕はとにかく日本が大好きなんだよ。今は京都の小さなアパートに奥さんと子供と泊まっているんだけど、僕たちは肉よりも魚をよく食べるし、京都は野菜も新鮮なものが多いから、僕たちのライフスタイルにピッタリなんだ。それに生まれて初めて満開の桜を見ることができたから、今回の旅は本当にラッキーだね」

 

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ライブアクトとして世界中を飛び回る生活を送られているかと思いますが、仕事とプライベートの時間をどのようにバランスをとっているのでしょうか?
「確かにここ数年は色々なところに行き過ぎていたから、いつかこの生活を変えなくてはいけないとずっと考えていたんだけど、奥さんとの間に子供ができたことが完璧なタイミングになったね。それからは月に一度しか海外にでないと決めたんだけど、そうしたことで毎回のライブを心から楽しめるようになったし、スタジオに入る時間、そして家族との時間をバランスよく保てるようになったんだ」
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レコードのジャケットやウェブサイトのデザインを見るとヴィジュアルのコントロールに対しても強いこだわりを感じるのですが、どんなアーティストが手がけているのですか?

「僕の関連作品のアートワークは全てBendik Kaltenbornというアーティストが担当しているんだけど、彼は僕が随分前に働いていたレコード屋の同僚だったんだよ。当時彼が僕にTalking HeadsやDavid Byrneを教えてくれたんだ(笑)。僕も彼も、音楽以外にコミックが好きだったり共通の趣味はあったんだけど、僕の音楽と彼のアートワークがこんなにもうまくマッチするとは思ってもみなかったよ。最近の作品しか知らないみんなは、彼の作品は可愛らしいユーモアのあるものだと思っているだろうけど、彼が昔僕に見せてくれたのはもっとクレイジーで、僕はそれが大好きだったんだ(笑)」
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『Its’ Album Time』のリリースによって、あなたの存在はダンスミュージックの枠を越えて多くの支持を得ましたが、それによってアーティストとしての立ち位置も大きく変わったのではないでしょうか?
「このアルバムをリリースするまで、僕はディスコのリエディット職人として見られていたと思うんだけど、ようやくそのイメージを払拭できたと思っているよ。これまでのリエディット作品やその活動に後悔はないけど、オリジナルの音楽も作れるアーティストであるということを証明する必要があると思っていたからね。リリース後は世界中のビッグフェスティバルにブッキングされるようになったし、バンドセットでのライブをやってみたいという願望も生まれたんだ。それにもっとたくさんアルバムを作りたいとも思うようになったし、いいことばかりだね!」
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最近の活動から感じてはいましたが、やはり今はDJとしてよりもライブアーティストやプロデューサーとしての活動に重きを置かれているのでしょうか?