MASARU TATSUKI
木村伊兵衛賞受賞後初の個展「その血はまだ赤いのか」
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photo: Masaru Tatsuki text: Tetsuya Suzuki
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- つまり、震災後改めて東北地方で写真を撮りに行ったわけですが、それはどのように意識されましたか?
- 「もちろん、写真集『東北』にしても、純粋に写真が良いといってくれる人も大勢いるけれど、やはり、震災以降の受賞となれば別の意味を持つ。実際には、写真集『東北』は、その準備を2006年からしていたわけだけれど。そして、(『東北』の写真を)撮っているときは、当然だけれど、別段、東北地方に注目が集まっていたわけでもなく、むしろ、自分としては、『東北を見ろ!』という気持ちもあったわけです。それが震災によって、一変しました。『東北』は2011年7月に出たわけだけれど、震災後の写真も2点入っている。それは、やはり震災に対して自分を表明するためのものですね」
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- では、写真展『その血はまだ赤いのか』には、震災後の東北地方に対する田附さんの思いが入っている。
- 「震災では、『東北』でお世話になった方々も被害に会われたわけで、写真家以前の一人の人間としても、いろいろと考えるところはあります。ただ、一方で自分は所詮、たかが写真家でしかない、という気持ちもあるのです。あくまでも、写真によって表現しなければならない。そして、自分は過度に説明的な写真や説教臭い写真は撮るつもりもない。写真ドキュメンタリーって、今、その存在意義をとわれていると思うんです。何かを訴えるとしても、それを写真の力でどう表現するのか。自分としては、自分の撮っているものは、すべてを美しいと思っている。あくまで自分が考える美しさではあるけれど、その美しさに多くの人が関心を持ってもらえればいいと思っています」
田附勝
その血はまだ赤いのか
会場: SLANT
会期: 2012年3月3日(土)〜4月26日(木)
時間: 11:00 〜19:00
住所: 石川県金沢市広坂1-2-32 2F
tel: 076-225-7746
入場料: 無料
月曜定休
協力: fairground / 株式会社カシマ
田附勝 『東北』
特別寄稿: 赤坂憲雄(『東北学/忘れられた東北』など)
デザイン: 落合慶紀(ガレージ)
出版: リトルモア
定価: 2310円(本体価格2200円)