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THINK PIECE

TOWA TEI ✕ SAYO NAGASE

「自分のためのアート」

12 12/4 UP

photo: Kentaro Matsumoto interview: Tetsuya Suzuki

11月28日から東京と京都で、自身によるコラージュの初の個展“e collage”を開催するテイ・トウワ。
ヴィンテージマガジンをリエディットした作品はその新しさと懐かしさで、
今年5月に東京で開催されたグループ展「MACH BEAT EXHIBITION」でも高く評価された。
その彼と国内外で写真集製作、展覧会などの活動を精力的に行い、
アーティストやファッション界で幅広い支持を得ている写真家・永瀬沙世が
創作活動の経緯と自らの「作品」への思いを語りあう。

 

テイ・トウワ(以下: T )
「永瀬さんは、何歳の時に、最初の個展を開いたの?」
永瀬沙世(以下: N )
「19歳のときです。でもちゃんとした個展ではなくて、イベントの片隅とかそういう感じです」
T
「僕の先輩ですね(笑)。僕も19歳か20歳の時にグループ展は一回やりましたね。美大に行ってはいたんですけど、何も作ってなかったのに、なぜか展覧会をやることだけ先に決めちゃって。みんなでお金出し合って青山に場所借りて」
──
その時はどのような作品だったんですか?
T
「そのときもコラージュ的なもの。立体だったけど」
N
「もとが写真のコラージュですか?」
T
「いや、物を色々組み合わせた訳の分からない。若いときって色々汚点があるじゃないですか(笑)」
N
「私も汚点だらけです(笑)」
──
では、今なら、自分の中で作品をいろいろな人に見てもらってもいいかな、ということですか?
T
「いや、そうではないんです。海外だと、友達が撮ってくれた写真とか家族や風景の写真とかを額に入れて、皆うまく飾ってたりするじゃない。それが日本には全然ない気がして。家を建てた時、内装をミニマルな感じにしたんだけど退屈しちゃって。それで、友だちが撮ってくれた写真やくれた絵とかを、額に入れて飾りだしたら楽しくなって。『ここにこの絵は合わないなあ』とか考えだしてね。『じゃあ、これ飾ろう』とか。そいうのにすごくはまって……」

 

N
「うちの実家は割と飾ってあったんですけど、どちらかというと芸術家のじゃなくて姉の描いた絵とか、家族旅行の写真とか。犬の写真とか」
T
「いいですね。そういうこと。アーティストの作品じゃなくてもいいよね。インテリアはインテリアで面白いけどアートも空間を占めるって意味ではおもしろいよね。嫁さんには絵なんて一枚あればいいじゃないって言われてるけどね。それじゃ、駄目なんだよ(笑)」
N
「音楽を作っている部屋にも絵が飾ってあるんですか?」
T
「飾ってあるけど、でも飾りすぎないようにしている」
N
「私は自分の家には写真を置かないようにしていて。家族の写真はあるけど、写真家のものはなくて、絵を飾ってます」
T
「自分で撮った写真は?」

N
「私、自分の写真を飾らないんです。暗室には2、3枚置いているんですけど。いつか飾ろうと思ってるんですけど、自分の作品が自分の家に飾ってあるというのが、落ち着かないので。こう、カユカユカユ……みたいな(笑)」
T
「痒いんだ(笑)。僕は仕方なく飾ってるかな、一個だけ」
──
あ、一個なんですね。
T
「一個だけ。家族に対して正当性を主張している(笑)」
N
「買ってくれた人の家に自分の写真を見に行ったりするんですけど、それが一番好きです」
──
そういう時、どう見まえす?
N
「『嬉しいー!』ってなります。本当にそれが一番嬉しい。私、割と絵の方が写真よりも好きで。自分が写真家だから、人の写真を飾るよりも人の絵を飾る方が好きです」