恋の渦
恋心と下心が交錯し、本音と嘘が渦巻く群像劇。
大根仁監督インタビュー
13 9/13 UP
photo: Takehiro Goto text: Chiho Inoue edit: Madoka Hattori
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- そこを逆手に取ってエンターテインメントにしているところが、この作品は面白いですね。
- 「映画ファンとかマニア的なシネフィル層だけじゃなくて、普段は邦画を観ないような人たちも楽しめる映画になっていると思いますけどね。そういった意味でのJ-POP性は『モテキ』のときも多少意識はしましたけどね」
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- 『モテキ』と同様に、小道具が凝っていますよね。壁にべたべた貼ってあるAKBのポスターとか。空間に対するリアリティを追求なさっているようにみえました。いまの邦画はファッションも部屋もどうしても嘘くさくなりがちだなって気がします。
- 「そうですね。特に若者が暮らす部屋だったら、なんでもっと汚さないんだろうとか思うことはあります。とはいえ『モテキ』の幸世の部屋はやりすぎでしたけどね、ほぼオレの私物ですけど(笑)」
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- 今回は大根監督の私物は投入されているんですか?
- 「オサムの部屋のグラビアはほとんどオレのですね。ずーっとスクラップして大量に取っておいてあったんですけど、まさかこんなところで使えるとは思わなかった」
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- ハニカムブログでもときどきお目にかかれるグラビアですね。撮りたい女優さんって、いらっしゃったりするんですか?
- 「沢口靖子さんですかね。『あまちゃん』で薬師丸ひろ子さん演じる鈴鹿ひろ美って、エキセントリックなキャラクターなのにもう本人が鈴鹿ひろ美にしか見えない。やっぱりとんでもない女優さんだって気付いたんですよ。それと同じ匂いを沢口靖子さんに感じるんです。ただ、オレは自分から企画を発信するタイプではないので、撮ってみたい人も描いてみたいテーマも特にないんですが、いつかやりたいなと思っているのは日本のパパラッチもの。週刊誌の芸能班の人たちの話は興味があります。みんなスキャンダル大好きなのに、見下されてしまう職業じゃないですか。知り合いの記者に話をきくと、スキャンダルを撮るまでのミッションってもうスパイ大作戦並みで(笑)、実に面白いですよ」
『恋の渦』
監督:大根仁
原作・脚本:三浦大輔
制作:山本政志
出演者:新倉健太、若井尚子、柴田千紘、後藤ユウミ、松澤匠、
上田祐揮、澤村大輔、圓谷健太、國武綾、松下貞治
配給:シネマ☆インパクト、SPOTTED PRODUCTIONS
2013年/138分
オーディトリウム渋谷、福岡 KBCシネマほかにて公開中。
以降、横浜ジャック&ベティ、松本CINEMAセレクト、
大分シネマ5ほかにて順次ロードショー。
http://koinouzu.info/