GREAT3「愛の関係」
活動休止・新メンバー加入を経て発表された、新生GREAT3の傑作アルバム。
14 4/22 UP
photo: Shoichi Kajino
interview: Tetsuya Suzuki
- ──
- とはいえ、詩は全て片寄さんが担当されているんですよね?
- 「活動休止が8〜9年近くあって、再開するという時にベースの高桑圭が抜けてソロに専念するという時に、高桑と中学校からの盟友だったドラムの白根賢一も当然一緒に辞めて、これでバンドは解散になると覚悟していたんです。でも結局、白根と話したら『片寄の言葉がほしいから、二人でやろう』と言ってくれて。自分のメロディに僕の歌詞が必要だ、なんて言ってくれたことはそれまで一度もなかったので嬉しかったですね。Janも含めてバンドの2人が僕の歌詞を好きでいてくれているので、それは僕がやるべき役割なんだと考えています」
- ──
- 作詞をするにあたって、活動休止を経て、あるいは様々な人生経験を経て変わった部分はありますか?
- 「ネガティブなもの、人のダークサイドが創作の原点になっている部分は変わっていないのですが、今は最終的にそれを乗り越えて光の方向へ向かっていきたいという気持ちが強くなりました。死を意識することで、だからこそ生きるんだというところに行き着いたことが一番の違いで、それが今作でも反映されていると思います」
- ──
- サウンド面ではアナログテープでの録音をされたとのことですが、これは当初からコンセプトの一つだったのですか?
- 「そうですね。前作はドラムの白根の自宅スタジオで録音したので、コンピュータを使ってのレコーディングだったのですが、僕は家でもほとんどアナログレコードで音楽を聴くような人間ですし、janもそういった質感を求めていたので、今作ではアナログレコーディングに戻ってみることにしたんです。23歳のjanにもそれを体験させてあげたかったですしね。
- 5日間スタジオで録音して、自分でも久しぶりのアナログだったのですが、『こんなに良い音だったっけ?』と感じるほどのサウンドに仕上がりました。懐古主義ではないので、自分が求める音の質感を手に入れるためですね」
- ──
- そのアナログの質感も含めて、GREAT3のアイデンティティが再確認され、より強固にアップデートされた形でパッケージングされたのが今回のアルバムですよね。
- 「新生GREAT3になって前作を出した後に、3人ともがそれほど間を空けずに次の作品を出したいと思ったのが、そのバンドとしてのアイデンティティを強めたいという気持ちがあったからだと思います。メンバーも変わって、2010年代のGREAT3のアイデンティティを自分たちも確認したかったですし、もちろんそれを周りに提示したかったんです。まだまだ色々やりたいことがありますし、ここにきてバンドとしての絶頂期がこれから来るような気すらしています(笑)」
GREAT3「愛の関係」
UNIVERSAL MUSIC JAPAN
TYCT-60027
3,240円[税込]
発売中