© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat Courtesy of Espace Louis Vuitton Tokyo
14 5/20 UP
text:Chie Sumiyoshi
© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat Courtesy of Espace Louis Vuitton Tokyo
Ashes, 2014 © Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat
Courtesy of Espace Louis Vuitton Tokyo
Ashes, 2014 © Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat
Courtesy of Espace Louis Vuitton Tokyo
また多くの人が気になるところであろう、映画とアートの作品性の違いについて訊くと、実に的確な喩えを選んで答えてくれた。「長編映画の現場はまるで巨大なマシンのようで、そのノイズの中に親近感の生まれる瞬間を見極めることが大切なんです。プロダクションラインや資金繰りなどのプレッシャーに慣れるのは時間がかかりましたが、いまではアートと映画の違いをあまり感じません。行きたい方向や本質的な感覚は同じです。私の初期のサイレントの作品がそうだったように、小津監督の『東京物語』など、日本映画に見られる“朝ごはんに何を食べるか”という些細な日常を丹念に描くような、静けさのなかで、急がず、増幅させず、熟成させる映像文化にインスピレーションを受けているかもしれません。たとえば、劇映画の根底には誰もが子どもの頃から親しんできた“物語”が流れていますが、その一方で、“詩”を綴るようにつくりあげるのがアートのアプローチ。物語の中に詩が介入し、多くを語らず、密度を深めるのです」
SHAME -シェイム-
Blu-ray ¥1,800、DVD ¥1,200
『SHAME -シェイム-』
© 2011 New Amsterdam Film Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute
マックィーンの映像世界では、饒舌な大作映画であろうと、寡黙な映像作品であろうと、観る者の感情を動かそうとするドラマティックな展開やエンディングは選ばれない。ただそこにはかならず「運命の不可避性」
『SHAME -シェイム-』
© 2011 New Amsterdam Film Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute
という人生のリアリティが、手強いスパイスを加えている。それは自分でも驚くほど淡々と無感情に作品を見終わった後の身体の芯に、わずかな熾き火を残してゆくような、新種のドライな刺激ともいえるかもしれない。
Steve McQueen
会期: 2014年4月26日(土)~ 8月17日(日)
会場: エスパス ルイ・ヴィトン東京(東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン 表参道ビル 7階)
電話: 03-5766-1094
開館時間: 12:00‐20:00
休館日: 不定休
入場料: 無料
www.espacelouisvuittontokyo.com