ディーン、君がいた瞬間(とき)
前作から8年。ジェームズ・ディーンの生涯を描いた最新作。
15 12/14 UP
photo: Kentaro Matsumoto
text: Naoko Aono
- 「プロデューサーから脚本をもらうまでは全く関心がなかった。僕はディーンが死んだ年に生まれているんだけど、僕が育ったオランダの街では映画館もなかったし、遠い国のできごとでしかなかった。映画を撮ることになってディーンについてもリサーチして初めて、彼が偉大な俳優だったことに気づいた。今でも彼のポスターやTシャツをよく見かけるよね。すでに亡くなってずいぶん経つのに、これだけ存在感のある俳優はなかなかいない」
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- 今後、「コントロール」や「ディーン、君がいた瞬間(とき)」のような伝記映画を撮る予定はありますか。
- 「『コントロール』が公開されたあと、伝記映画を撮ってほしいという依頼はたくさんあったけど、全部断ってしまった。ほとんどがミュージシャンの映画だった。誰か有名なミュージシャンが亡くなるたびにそんなオファーがきたよ(笑)。『ディーン、君がいた瞬間(とき)』の撮影を受けたのは、これが単なる伝記ではないからだ。二人の若い男が出会って、お互いの人生に影響を受ける。決して大きなメッセージを持つストーリーではないけれど、僕にはとても興味深く思えた。『コントロール』を撮る前も
- 『君は映画を撮るべきだ』といろんな人から言われていた。でも僕は自分が映画監督になれるとは思っていなかった。自分のことは僕が一番よくわかっているし(笑)、とてもじゃないけど無理だと思ったんだ。でもイアン・カーティスだけは別だった。短い間だったけれど彼らとはとても深いつきあいをしたし、僕にとって重要な人物だったから。技術的な懸念はあったけれど、彼らに対して抱いていた感情のほうがはるかに大きかった。確かに大きな冒険だったけど、それが今の僕の仕事につながっている」
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- 次の作品の構想はありますか?
- 「ギルバート・キングという作家の『Devils in the Grove』というドキュメンタリーの映画化を考えている。1949年に4人の黒人が17歳の白人の少女をレイプした嫌疑で逮捕され、無罪判決が下されたが、白人至上主義団体のKKK(クー・クラックス・クラン)が彼らを襲撃した、という事件だ。キングは事件の60年後に情報公開されたFBIのファイルなどを丹念に調査してこの本を書き、2013年にピュリッツァー賞を受賞した。まだ配役も決まっていないけれど、とても興味深いテーマだと思っている」
『ディーン、君がいた瞬間(とき)』
監督:アントン・コービン
製作:イアン・カニング/エミール・シャーマン/クリスティーナ・ピオベサン/ベニート・ミューラー
出演:デイン・デハーン/ロバート・パティンソン/ジョエル・エドガートン/ベン・キングズレー/アレッサンドラ・マストロナルディ
配給:ギャガ
2015年12月19日公開
http://dean.gaga.ne.jp/
Caitlin Cronenberg, ©See-Saw Films