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THINK PIECE

END ALS「ONE TRY,ONE LIFE」

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の認知促進プロジェクト。

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text: yk

国指定の難病、 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者である広告プランナー藤田正裕氏が設立した一般財団法人END ALS。
ALSの認知理解促進のためのプロジェクト“ONE TRY ONE LIFE -ROAD TO END ALS-”の一環として制作され、
世界ALSデーの6月21日に公開がスタートしたCMでは、アーティストのAIが出演。
ALSがこの世から無くなることを目指し活動を続ける藤田氏に話を訊いた。

 

──
まずEND ALSを創設された目的、そして現在の主な活動を教えてください。
「END ALS の名前のとおりALSを終わらせるためです。診断された当時は、喧嘩を売られたとしか思えませんでした。そこでこいつに勝つために仲間と活動してきました。まずは認知拡大と思い様々なことをやってきましたが、今はより具体的に『未承認でも安全な治療法なら末期患者個人の自由でうけられるべき』と訴えています」
──
どのようなメンバーがEND ALSとして活動されているのですか?
「賛同してくださる人全てです。一般社団法人END ALSは家族、友人、弁護士、税理士で運営していますが、活動は手を挙げてくれる皆と一緒に進めています」

──
“ONE TRY ONE LIFE -ROAD TO END ALS-”というプロジェクトについて教えてください。
「ALSは治せる病気だと証明したい。アイスバケツチャレンジから1年、海外では安全な未承認治療を試し、回復した人もいます。希望は見えています。けれど、今はすべてのALS患者が最新治療を受けられるわけではありません。そこで、すべてのALS患者が日本で1日でも早く治験を試せるように、日本中から、世界中から知恵や知識を集約、課題を明確にし、突破していくプロジェクトです」
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その一環として制作された今回のCMにはアーティストのAIさんが出演されていますが、どのような経緯で実現されたのですか?
「AIは昔からの友人で、今回は共通の仲間が動いてくれて実現しました。 もともと人の幸せを重視する仲間なので、そんなに深い話も必要なく、すぐに声を貸してくれました」

 

──
毎年6月21日は世界ALSデーとされていますが、これはALS患者、またそれに関わる人たちにとってどんな日なのでしょうか?
「世界ALSデーはまだ認知が少ないですが、存在するだけありがたいです。それと同時に、どれだけ完治に向かって近づいていないのかが毎年あからさまにされる日でもあります。だからこそ、そこに向かって皆と一緒にどう有効活用できるかチャレンジされる日でもありますね。昨年から、仲間の一人の発案でGORON for ALSという、意識、感覚はあるのに、すべての筋肉が動かなくなるALS患者の状態を、ゴロンと転がったまま5分間動かないことで疑似体験してもらうという活動をしています。去年は6月21日世界ALSデー当日に、今年は前日の6月20日に銀座の歩行者天国で実施しました。来年はギネス記録を目指します!」
──
昨年は日本でもアイスバケツチャレンジが流行し、国内でも徐々にALSの認知度とその関心が高まりはじめているようにも思いますが、欧米と比較してヒロさんが感じることはありますか?
「アイスバケツは世界中で流行になりALSは認知されたと思います。ただ、NHKさんが実施したアンケートによると62%の人はアイスバケツは知っている、でもALSをよく理解している人は22%という結果でした。また、欧米と比べると日本はネクストステップへの動きや要求が弱いかと感じます。実際どうかは誰も知らないと思いますが、見ているかぎり欧米では医療界も政府も患者団体もこの問題解決に向けもっとアグレッシブです。それはある程度のリスクがあることは受け入れ、目標達成だけを視野に無我夢中な姿勢が見えます。非常に頼もしいです。それに対して日本ではもっと慎重にと・・・。何かアクションを起こして死ぬのは理解できますが、慎重になりすぎて失敗を恐れ何もアクションを起こさず死ぬって・・・本末転倒だと感じます」

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ヒロさんはこれまでハニカムブログでも度々、”ALS患者が望む治療”について言及されていますが、日本の医療制度のどういった部分に問題を感じているのでしょうか?
「これはALSに限らず難病患者や末期患者みんなですが、治りたいんです。皆様も風邪をひいたら薬のみますが、100%効くと思い飲んでないですよね?効く可能性に賭けて飲んでいます。どの治療法を選ぶかは個人の自由です。国の責任は安全かどうかまでの確認だと思います。どんな効果があるか副作用を受け入れるかは、個人の責任です。試さないと治療は探せません。是非その選択肢を個人に与えて欲しいと思っています」
──
今後、国内また世界的にALSを取り巻く環境がどのように変わっていくことを望まれていますか?
「未承認でも安全な治療法を、世界の全ての難病患者が望めば個人の自由で受けられるようになって欲しいです」