FPM『Moments』
FPMデビュー20周年を記念した、3枚組ベストアルバム。
15 10/20 UP
photo: Erina Fujiwara
interview: Tetsuya Suzuki
- それは21歳の若者が作ったからこそ響くものがあるのであって、おっさんの戯言なんて誰が聞きたいんだって思ってしまうんです。ですが先日、安保法案が成立する日にたまたまスタジオに入っていたとき、何かざわざわとしたものを感じていて、結果的に非常にエモーショナルな曲が出来上がったんです。いままでは過去の音楽を聴いたり、そのレコードをサンプリングしたり、スタジオのハードディスクの中に音源を放り込んでゴチャゴチャ混ぜたり、というのがクリエイティブの源だったのに、世間の喧騒が自分の背中を押して音楽を作らせたということに非常に驚いています。
SOUND MUSEUM VISIONで行われた『Moments』リリースパーティにて
- そのように出来上がった楽曲が、ベスト盤以降第1曲目の作品なんですけど、ここからデビューでもいいというくらいの曲になりそうです。つまり、ベスト盤で『これでもうFPMはいいかな』と思っていたときに、『これがデビュー曲でもいい』っていう曲が生まれた。今はそれに夢中で、次のその曲をどう仕上げるかが一番楽しみなんです。これまでもFPMに真摯に向き合ってきましたが、すべて自分の理想を具現化して楽曲が出来上がるのがインテリジェンスだと思っていました。しかし、今回のように世間の大きなうねりに巻き込まれることがクリエイティブにつながることがわかったと報告できたことが、今日は何より嬉しいです(笑)」
- ──
- 20周年の一区切りとしての作品を作り上げ、また新しく見えてきたものもあったということで、この先の20年もまた楽しみになりますね。
- 「20年やるかもしれないし、1年で辞めてしまうかもしれないんですけど、とりあえず20周年の節目に、いままでを全部捨ててでもフォーカスしたい曲を作りはじめることができたのがものすごく嬉しいです。ベスト盤ってお葬式だと思っていましたが、お葬式をやったことで新たに生まれる、余生じゃない新しい生がありました。お葬式したら、生まれ変わっちゃったみたいな(笑)」